地方を離れ、都会に移り住む人が増えたことや、少子高齢化により、墓じまいの件数が年々増えています。
本記事では、墓じまいの手順や、かかる費用についてご紹介します。
墓じまいとは
墓じまいとは、現在のお墓を撤去し、更地に戻すことです。お墓の継承者がいない場合や、遠方でなかなかお墓参りに行けない場合などに行われます。
墓じまいの際、遺骨は別の場所に移転します。遺族が管理しやすい場所にある他の墓地や、永代供養墓地に移転します。また近年は、散骨などの自然葬も注目を集めています。
永代供養墓地とは
永代供養墓地とは、遺族に代わって、寺院や霊園が管理、供養してくれる墓地のことです。「永代」といっても、無期限というわけではなく、弔い上げとなる33回忌までを期限とするところが一般的です。寺院や霊園によっては、17回忌までというところや、50回忌まで行うところもあるので、事前に確認しておくと良いでしょう。
自然葬とは
遺骨を粉末状にして海や山などに撒く「散骨」や、樹木の根本に遺骨を埋葬する「樹木葬」などがあります。遺骨を自然の中に還すことで供養することができます。また墓石を必要としないため、費用面でのメリットもあります。
墓じまいをしない場合は無縁仏に
墓じまいをしないまま、管理する人がいなくなったお墓は、無縁仏になってしまいます。「墓地を継承することはできないが、代々受け継いてきたお墓を無縁仏にしてしまっては、ご先祖様に申し訳が立たない」という理由から、墓じまいを選択するケースも多くあります。
墓じまいの手続きと流れ
墓じまいの具体的な流れについて説明していきます。
1.親族間で話し合いを行う
墓じまいの手続きをする前には、必ず親族間で話し合いを行いましょう。お墓には、親族全員に取って大切な人が眠っています。相談なく墓じまいをしてしまうと、後のトラブルの原因となります。
2.墓地の管理者へ連絡する
親族の理解を得て、墓じまいをすることをが決まったら、現在の墓地の管理者にその旨を伝えます。
3.離檀
寺院にあるお墓を墓じまいする時には、その寺院の檀家から離れることになります。これを離檀といいます。離檀は寺院にとって、長年勤めてきた仕事と、収入源がひとつ減ることを意味します。長年お墓を守ってもらった縁もありますので、離檀の際には電話などで済まさず、直接出向いて誠意を示しましょう。中には強く引き止められたり、高額な離檀料を請求されるケースもありますが、きちんと事情を説明すれば納得してもらえることがほとんどです。お互いに気持ちよく関係を終えられるよう、丁寧に根気強く話し合いましょう。
4.遺骨の移転先を決める
墓じまい後の遺骨の移転先を決めます。
5.改葬許可の申請
遺骨を移転する際には、自治体が発行する「改葬許可証」が必要です。しかしこの改葬許可の申請手続きは、少し複雑な上、自治体ごとに方法が異なります。不明な点がある場合は、現在墓地がある土地の自治体に問い合わせると良いでしょう。自治体の側もこういった質問は多く受けているため、大抵の場合は親切に教えてもらえます。
6.撤去工事の依頼
お墓の撤去工事を行う業者を選び、依頼します。いくつかの業者に見積もりを取り、比較した上で決めると良いでしょう。自治体によっては、あらかじめ業者が決められている場合もあります。
7.魂抜き、お骨あげ
墓石には魂が宿ると考えられています。そのため、お墓を建てた際には僧侶による「魂入れ」を行い、墓石をただの石から、信仰の対象に変化させています。逆に墓じまいの際には「魂抜き」を行い、ただの石に戻してから墓石を処分する必要があります。遺骨を取り出す「お骨あげ」もこの時に行います。
8.お墓の撤去
業者が撤去工事を行います。墓石の構造上、魂抜きの際にお骨あげができなかった場合は、この時に取り出します。
9.遺骨を移転先へ
あらかじめ決めた移転先に、遺骨を移します。
墓じまいの費用
墓じまいにかかる費用は、大きく分けて4種類あります。移転先や業者によって大きく異なりますが、50~100万円程度が平均的な総額といえます。
お墓の撤去費用
撤去を行う業者に支払う費用です。墓地の面積によって異なりますが、平均的な面積(2㎡以下)であれば、ならば20万円前後が相場といえるでしょう。面積が広くなれば、それに応じて費用も高くなります。
中には相場を大きく下回る業者もありますが、注意が必要です。撤去とは名ばかりで、墓石を不法投棄するような悪徳業者も過去にはいましたので、値段の安さだけで選んでしまうのは考えものです。
僧侶へのお布施
魂抜きの際、感謝の気持ちとして僧侶にお布施をします。あくまで気持ちですが、3~5万円が世間的な相場といえます。
離檀料
離檀する場合は、離檀料がかかります。法的な支払い義務はなく、金額はお寺の匙加減になります。法事1回あたりのお布施と同じぐらい(10~20万円程度)になるケースが多いです。中には離檀させまいと100万円単位の高額な請求をされ、トラブルになるケースも。長年お世話になってきたお寺ですので、丁寧な話し合いを心がけましょう。
移転先での費用
移転先で新たにお墓を立てる場合は、120~300万円ほど費用がかかります。永年供養をするのであれば、1霊あたり数万円で計算されるのが一般的です。自然葬の場合は、比較的安価に抑えることができます。
墓じまいの代行
墓じまいに、改葬許可の手続きなど様々な手続きが必要ですが、これらの手続きを代行してくれる業者もあります。行政手続きやお墓の撤去、移転先の相談まで含めて、30万円ほどで行ってくれる業者もあり、自分でやるよりも安価で済むケースも少なくありません。
まとめ
墓じまいとは
お墓を撤去し、更地に戻すこと
墓じまいの費用
総額50~100万円ほどが平均
墓じまいの代行
代行を頼んだ方が安くなる場合もある
墓じまいの流れ
- 親族間で話し合い
- 墓地の管理者へ連絡
- 離檀
- 遺骨の移転先を決める
- 改葬許可の申請
- 撤去工事の依頼
- 魂抜き・お骨あげ
- お墓の撤去
- 遺骨を移転先へ
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