故人を偲ぶ上で重要な役割を持つ仏壇。
昔はどこの家庭にも当たり前に置かれていましたが、近年は置いていない家も少なくありません。本記事では仏壇の役割や、宗派ごとの仏壇の違いについて解説していきます。
仏壇を置く意味
日本の一般家庭に仏壇が普及したのは、江戸時代に始まった寺請制度がきっかけだと言われています。仏壇には大きく分けてふたつの役割があります。
家の中に置く小さなお寺としての役割
仏壇は、基本的に各宗派のお寺の本道を模した作りになっており、信仰の対象となる本尊として、仏像や掛け軸をかならず安置します。
先祖の霊を祀る場所としての役割
もともと仏教には先祖の霊を祀るという教えはありません。しかし日本には仏教が伝来する以前から先祖崇拝の考え方が深く根付いていたため、両者が混じり合うことで現在の形になりました。
宗派ごとに違う仏壇
仏壇の役割や飾り方は、宗派によって少しずつ異なります。
曹洞宗の仏壇
曹洞宗の仏壇は、仏教の開祖である釈迦如来を本尊として祀るのが基本です。ただし他宗から改装したなどの理由で、すでに縁のある仏を祀っているのであれば、新しく本尊を用意しなくてもそのままで良いとしています。
曹洞宗のお寺でも、阿弥陀如来や観世音菩薩などを本尊として祀っている場合もあります。脇侍には向かって右に常済大師、左に承陽大師を祀ります。
真言宗の仏壇
真言宗の仏壇では大日如来を本尊として祭ります。しかし既に縁がある仏を祀っている場合は、そちらを祀っても問題ありません。
真言宗のお寺でも、大日如来ではなく阿弥陀如来を祀っているお寺もあります。これはすべての仏は大日如来が姿を変えた姿であるという真言宗の考え方に基づいています。脇侍には向かって右側に弘法大師、左側に不動明王を祀ります。
浄土真宗の仏壇
浄土真宗は、日本の仏教の中では最も多くの信者を抱える宗派です。無限の光を持つとされる阿弥陀如来を本尊として祀り、仏壇は豪華絢爛な金仏壇を用いることが一般的です。
脇侍には、西本願寺派であれば向かって右側に親鸞聖人、左側に蓮如上人。真宗大谷派であれば向かって右側に十号名号、左には九号名号という掛け軸を飾ります。
浄土宗の仏壇
浄土宗の仏壇では阿弥陀如来を本尊として祀ります。
脇侍の飾り方には2パターンあり、向かって右側に観世音菩薩、左側に勢至菩薩を祀る場合と、向かって右側に善導大師、左側に法然聖人を祀る場合があります。
日蓮宗の仏壇
日蓮宗の仏壇には大曼荼羅を本尊として祀ります。曼荼羅とは、日蓮宗を興した日蓮が文字で記した本尊です。
日蓮聖人の木像を飾る場合は、大曼荼羅の前に祀ります。脇侍には向かって右側に鬼子母神、左側に大黒天を飾ります。
臨済宗の仏壇
臨済宗では特定の本尊を定めていませんが、臨済宗十四派と呼ばれる主だった宗派は、いずれも釈迦牟尼仏を本尊としています。そのため、一般家庭の仏壇でも釈迦如来を本尊として祀るのが一般的です。
脇侍については幾つかパターンがあるので、分からなければお世話になっているお寺に相談すると良いでしょう。
天台宗の仏壇
天台宗の本尊は釈迦如来ですが、一般家庭の仏壇では阿弥陀如来を本尊として祀ることが多くなっています。その他、観世音菩薩を本尊としても良いといわれています。
脇侍には向かって右側に天台大師、左側に傳教大師を祀ります。
神道・神式の仏壇
神道における仏壇は祖霊舎といい、位牌の代わりに霊璽を祀ります。神道では、故人は死後、その家の守り神になると考えられており、霊璽には故人の魂が宿るとされています。
無宗教の仏壇
無宗教であっても、故人を偲ぶために仏壇を用意する方は少なくありません。洋間のリビングにも馴染むデザインのモダン仏壇をはじめ、様々な選択肢があります。
仏壇の必要性とは
かつてはどの家庭にも必ず仏壇がありましたが、近年では仏壇を置かない家庭も増えてきています。本項では現代における仏壇の役割について解説していきます。
心の拠り所としての役割
仏壇は仏に対して祈りを捧げる場です。仏は日本の長い歴史の中で、人々が辛い時や悲しい時、心の拠り所になってくれる存在でした。
現代の日本では仏教を熱心に信じている人は少なくなっていますが、一方で気持ちが沈んだ時、迷ってしまった時に、何を信じれば良いのか分からないと感じる人が増えてきています。
そんな時代だからこそ、仏壇を身近に起き、拠り所となるものを持つことには大きな意味があります。
先祖に感謝する場としての役割
先祖が居ない人はいません。父母なら2人、祖父母なら4人、曾祖父母なら8人……と、今生きているひとりひとりの命は、それを繋いできた膨大な数の先祖によって成り立っているのです。
普段の生活の中で、そんな先祖の存在を意識できる場所は、実は仏壇の前を除いてなかなかありません。
悲しみを癒やす場としての役割
故人との思い出を振り返り、時には話しかけたりする。そんな場所としての役割も仏壇にはあります。この役割は意外と重要で、海洋散骨などの自然葬を選択した人の中には、どこで故人に祈れば良いのか分からないという悩みを持つ人も少なくありません。
仏壇を置かない代わりに
住宅事情や生活スタイルの都合で仏壇を置かない場合、納骨堂に遺骨を納める、手元供養にするなどの選択肢があります。
納骨堂
納骨堂とは、遺骨を安置しておくことのできる建物です。故人、夫婦など様々な単位で安置することができます。墓地用地が不足している都心部を中心に近年増えています。
また、手入れが必要なく、遺族の負担が少なく住むことや、無縁仏になるリスクが少ないなどのメリットがあります。
手元供養
遺骨を手元に置いて供養する手元供養では、遺骨を仏壇に納める場合もありますが、よりインテリア性の高いミニ仏壇や、遺骨をアクセサリーに加工して常に身につけておくなどの方法が選ばれることもあります。
まとめ
仏壇を置く意味
仏壇には、小さなお寺としての役割と、先祖の霊を祀る場所としての役割がある
宗派ごとに違う仏壇
仏壇の役割や飾り方は、宗派によって異なる
仏壇の必要性
仏壇を置かない家庭も増えてきている
現代における仏壇には、心の拠り所、先祖に感謝する場、悲しみを癒やす場などの役割がある
仏壇を置かない代わりに
仏壇を置かない場合は、納骨堂に収める、手元供養にするなどの選択肢がある
贈儀計画コラムでは、人生の儀式における皆さまの悩みをサポート致します。
葬儀・介護・相続・お墓・結婚などそれぞれの課題を、情勢に合わせ専門のサポートスタッフがいつでもご相談を承ります。まずはお気軽にご相談ください。
冠婚葬祭セリエンス(贈儀計画コラム運営企業)
電話番号:0120-34-5183 受付時間:9:00-17:00
インターネットでのお問い合わせは24時間承っております。