遺品整理は細かな生活用品から家具・家電、相続対象となる高価なものまで、さまざまな種類を整理しなければならない大変な作業です。いざ遺品整理をするにも何から手を付けたら良いのかわからないと悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。ここでは遺品整理はいつからどのように始めたら良いのか、おススメのタイミングや注意点を説明していきます。
遺品整理とは
遺品整理の意味
遺品整理は、使わなくなった物を単に処分し、綺麗にするという前提で行う作業ではありません。遺品整理とは、故人の生前の所有品を労り、故人の思いや思い出を慈しみながら、大切な人との別れに向き合い故人を偲ぶための大事な時間であり、とても大切な弔いの作業です。日常的に行う部屋の片づけや引っ越しとは違う遺品整理は、想い入れの強い写真や手紙、仏具や人形などはご供養を施してから処分したり、故人の愛用品などを在りし日の思い出として遺族や近親者が受け継ぐいわゆる形見分けをするなど、粗末に扱うことなく適切に処置する必要があります。
日本特有の価値観
日本人独特の考え方として「物には魂が宿る」という価値観があます。これはカタチあるモノにも魂が宿っているという考え方です。丹念に造った物、入念に選んだ物、大切に使用した物などには「付喪神(つくもがみ)」(九十九神とも表記される)と呼ばれる精霊が宿るとされ、「伊勢物語」や「御伽草子」などにも登場しています。このように、日本人には古くから「物を大事にする」という価値観や慈しむ文化が根強く存在してきたと共に、大切に使ってきた「物」には持ち主の思い入れや様々な歴史があると考えられてきた為、物を粗末にしてはいけないという意識が強くあるのです。大切な方が亡くなった後に行う「遺品整理」にも「物には魂が宿る」という日本特有の価値観が大いに反映された弔い方と言えるでしょう。
遺品整理の仕方
遺品と一口に言っても、種類も様々で「どこから手を付けたらいいのかわからない」と困ってしまう人も多いでしょう。遺品整理をスムーズに進めるコツは、まず遺品を以下の3つの種類に仕分けると考えて進めていくことです。
- 貴重品や思い出の品などの形見品
- リサイクル可能なもの
- 廃棄するもの
「貴重品」は高価な物、「形見分けする遺品」は貴重品をはじめ思い入れのある写真や持ち物と大別してみてはいかがでしょうか。いずれにしても確認が必要な遺品となり、かなり作業として迷い易いジャンルです。その他は大きな家具はリサイクル、リサイクル困難なものは廃棄するといった判断が付きやすいでしょう。今日は貴重品類、明日はリサイクル品、最後に廃棄するものなど3点を分ける上で日程を分けて作業日程を組んだり、リストアップすると混乱せずに済むかもしれません。
遺品整理はいつから行う?
遺品整理をはじめる時期やタイミング
故人が亡くなり葬儀なども済み、そろそろ遺品整理をしなければと考える人が多いようですが、遺品整理を始めるのに適切な時期というものはあるのでしょうか。遺品整理には決まった開始日や具体的な作業日数などの決まり事は無いので、遺族の悲しみが癒えて気持ちが落ち着いてから取り掛かる方が心身的にもいいでしょう。悲しみが癒えるのにしばらくかかりそうな場合は、数年後でもいいのです。尚、葬儀後間もないうちに遺品整理をしてしまうと故人に申し訳ないと感じる人もいるようですが、そんなことはありません。親族が納得のいくタイミングで遺品整理を行い、故人への気持ちの区切りをつけることが大切です。ただし、親族の了承を得ずに遺品整理を勝手に行ってしまうとトラブルの元になります。また、諸事情により早急に片づけなければならない場合は、法要後すぐに行う必要があるなどの注意は必要です。
遺品整理の時期を決めるポイントは2つ
遺品整理の時期を決めるのは遺品整理に期限がある(=急ぐ)場合と遺品整理に期限が無い(=急がない)場合の2つ分かれます。
遺品整理に期限がある(急ぐ)場合
故人がひとりで賃貸物件や介護施設などで生活しており、すでに退去日が決まっている場合は、すぐに遺品整理を始める必要があります。先ずは明け渡しの日程や費用に関して、大家さんや管理会社、施設等に確認し、そこから逆算して遺品整理を始める必要があります。
遺品整理に期限が無い(急がない)場合
故人が持ち家(自己所有物件)に住んでいたり家族と同居していた場合には、遺品整理を急ぐ必要はありませんので、優先するべきことを終わらせてからでも問題はありません。ただし、遺品には相続が発生する可能性もあります。誰かが勝手に遺品整理を進めてしまうようなことがないように、遺族や親族間で遺品整理を始める時期やタイミングについて話し合っておきましょう。期限が無い場合のオススメのタイミングは以下です。
- 遺族の気持ちの整理がついた時
- 遺族が集まるタイミング
- 四十九日や一周忌など法要を目安とする
遺品整理の注意点
故人が一人で賃貸物件に住んでいた場合
マンションやアパートなどの賃貸契約は、入居者(借主)が亡くなったからといって自動的に契約終了となるわけではありません。故人の「賃借権」はそのまま相続人へと引き継がれることになり、部屋を明け渡す場合には相続人が管理会社やオーナー(大家)に賃貸契約の解除申告を行い、退去届を提出して、通達された部屋の明け渡し期日までに遺品整理を済ませる必要があります。また、賃貸契約が継続している間は家賃や共益費も発生します。退去の遅れで生じる家賃や延滞金などを遺族が支払わなくて済むように、故人が締結した「賃貸借契約書」で月々の家賃額や支払日、違約金などを把握し、賃貸契約が有効なうちにできるだけ早く遺品整理を済ませておくようにしましょう。
親族とのトラブル
相続人が複数いる場合、一人で遺品整理を行うと、遺品の配分、特に金品など高価なものをめぐってはトラブルになりかねません。遺品整理は、単独判断ではなく必ず相続人全員で一緒に行いましょう。遺言書の有無は勿論、相続に関わるものには期日が生じるものもありますので注意が必要です。トラブル回避の為に遺品整理のタイミングを親族が揃う法要などを目安にするのもオススメです。
迷ったら遺品整理業者に依頼
住居の退去期日やさまざまな手続きに迫られて遺品整理を急ぐ場合でも、どうしても気持ちが追い付かない、遺族の間で予定や意見がまとまらない、判断に迷うといった事は大いに想定されます。そんな時は遺品整理のプロが在籍する遺品整理業者に依頼して、全てを任せてしまうのもひとつの選択肢です。遺品の仕分けから梱包、搬出、運搬、清掃まで遺品整理作業の全般を遺品整理のプロに依頼することが可能なので、費用がかかり、第三者の他人が介入することにも抵抗を感じるかもしれませんが、時間と労力の負担を大幅に減らすことができます。
まとめ
遺品整理をいつから始めるかは、遺族の気持ちを優先させるべきではありますが、遺品整理を先延ばしにしすぎると問題が生じることがあることがわかりました。大切な故人の死を受け入れるまでに掛かる時間は人それぞれ異なりますが、いつかは区切りをつけなければ、これからも続く人生の歩みを進めることはできません。形見品や処分品などを仕分けながら遺品整理を進めることで気持ちの整理も可能となるかと思います。時間に余裕がある場合は少しづつ時間をかけてでも遺品整理を進めてみてはいかがでしょうか。
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