葬儀におけるお車代、どんなときに、だれに渡す?その相場は?

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お車代」という言葉は、だれもが一度は耳にしたことのあるものでしょう。
ここでは「葬儀におけるお車代」に注目して、

  • そもそも葬儀におけるお車代とはどんな意味を持つのか
  • 葬儀におけるお車代は、いったいだれに渡すのか
  • 葬儀におけるお車代は、いくらくらいが相場か

について解説していきます。

基本的にはお車代は宗教者に渡すものだが、例外的に親族に渡す場合もある

葬儀におけるお車代は、「遠方から来てくれた人に対して渡す交通費」という意味を持つと同時に、「遠方からわざわざ葬儀に参列してくださってありがとうございました」というお礼の意味を込めてお渡しするものです。また、葬儀におけるお車代は、一般的には宗教者(仏教ならばご僧侶様)に対してお渡しするのが普通です。詳しくは後述しますが、その宗教者が所属する・住んでいる場所(お寺など)以外の場所で葬儀を行う場合にお渡しするものです。

なお葬儀におけるお車代が「遠方から来てくれた人に対して渡すものである」という原則に従うのであれば、遠方から来てくれた「親族」に対してもお車代を渡さなければならないことになります。正確なデータを出せたわけではありませんが、元葬儀会社の従業員の感覚から判断すると、体感的にはご遺族のうちの1~2割程度は、ご親族に対して「お車代」を渡している印象です。ただ、親族に関しては「お互い様」の部分があるので、多くのケースでは親族にはお車代は出しません。このあたりは明確な正解・不正解がない部分ですから、家族・親族のやり取りなどを鑑みて判断していくとよいでしょう。

※下記では原則として「親族に渡すお車代」については取り上げず、「宗教者に対して渡すお車代」について取り上げます。ただしご親族に渡すお車代の相場に関しては、宗教者に対して渡すお車代と同じで、「実費にいくらかプラスして、キリの良い数字にする」という考え方は同じです。

宗教者に渡すときの「お車代」の意味とは

上記で断ったように、ここからは「宗教者に渡すときの『お車代』」について解説していきます。

宗教者が所属する宗教施設で葬儀を行う場合は、宗教者に対してお車代を渡す必要はありません。なぜならそのような施設で葬儀を行うケースでは、交通費が発生していないからです。

しかしそれ以外の場所(葬祭ホールなど)で葬儀を行う場合は、お車代を渡す必要があります。
現在では、寺院葬などの「宗教施設で行う葬儀」は少数派となっているため、多くの葬儀で「宗教者へのお車代」が発生していると考えられます。なお、例外的な話ではありますが、

  • 葬儀を行う会場は葬祭ホールではあるが、宗教者の寺院からみて徒歩圏内である
  • 遺族・親族(以下『遺族』)が送り迎えをする
  • 遺族があらかじめハイヤーなどを手配しておき、その費用を遺族が支払う

という場合は、当然お車代は発生しません。

宗教者へのお車代は、「宗教者がその葬祭ホールに足を運ぶための交通手段」がどんなものであっても発生します。公共交通機関で来てもらう場合はもちろん、自家用車で来てもらう場合も発生することは押さえておきましょう。

ただし、「その宗教者の住まいまでタクシー(ハイヤー)をやって、帰り道もタクシー(ハイヤー)で帰ってもらう。そのときのタクシー利用料金は、遺族が負担する」という場合は、「タクシー(ハイヤー)の利用料金」をすでにご遺族が負担していることになるので、別にお車代を包む必要はありません。

宗教者にお車代を渡す場合は、無地の封筒に「お車代」「御車代」「御車料」と書いたものを用意して、そこにお金を入れて渡します。

ちなみに「宗教者へのお車代をお渡しする場合も、黒白の水引がかかった不祝儀袋を使ってもよい」とする説もありますが、「宗教者側に不幸があったわけではないので、水引のかかったものを使うのはおかしい」とする説もあります。どちらが正しくどちらが正しくないと断言することはできませんが、迷ったのならば、無地の封筒を選ぶ方が無難です。

なお、葬儀のときに宗教者に渡すお金は、お車代のほかにも「お布施」「御膳料」があります。お布施とは葬儀における宗教的儀式を行ってもらう際に必要となるものです。御膳料とは、精進落としなどの会食の席を設けている葬儀において、宗教者がそれに参加しない場合に包むものです。

つまり、葬儀で宗教者に渡すことになるお金は3つあるということです。

  • お布施(必須)……いずれの場合でも必ず渡すことになるもの。葬儀において、宗教的儀式をしてもらったことに対する寄進
  • お車代(ほぼ必須)……「その宗教者がいる宗教施設」「その宗教者にとって徒歩圏内の会場」「遺族が交通費を負担して、タクシー(ハイヤー)を手配して送迎を行う」という場合以外のケースで必要になる。いわゆる「足代」
  • 御膳料(状況による)……会食の席を設けるが、宗教者がそれに参加しない場合に包む金額のことをいう。宗教者が会食に参加するもしくは会食自体を行わない葬儀、あるいは新型コロナウイルス(COVID-19)下であることを考慮してお弁当を持ち帰ってもらう葬儀の場合は不要ということです。

なお、お布施もお車代も御膳料もすべて宗教者に渡す(可能性のある)ものですが、その性質はいずれも明確に異なります。そのため、包みは別々にしなければなりません。お布施のなかにお車代と御膳料を一緒に入れることはバッドマナーと判断されますし、お車代と御膳料をまとめることもNGとされています。ただし、渡すタイミングは同じです。葬儀の始まる前(終わった後でも問題ありません)に、宗教者の控え室に喪主が赴き、渡します。

お車代の相場とは

最後に、宗教者に渡すお車代の相場についてみていきましょう。

これは「実費」を元に計算して、そこにいくらかの金額を足してキリの良い数字にするのが正解です。たとえば交通費の実費が4500円程度ならばプラス500円として、5000円とします。お布施とお車代は性質が異なるため、お車代に関しては「気持ち」ではなく「実費」を意識する必要がある、という点を押さえておきましょう。10000円を超える場合も実費+キリの良い数字で包むかたちになります。ただし、「10000円以上かかる場所から、わざわざ宗教者に来てもらわなければならない状況」はそれほど多くはないでしょう。たとえば仏教の場合は、「亡くなった父は青森に住んでいて菩提寺もそこにあるが、葬儀を挙げるのは息子の住まいである東京である」などの状況ならば、青森県にある菩提寺に連絡すれば、東京にある同じ宗派の寺院とつないでくれるからです。そのため、10000円を超えるお車代が発生するのは、「遠方での葬儀ではあるが、どうしても菩提寺のご住職に来てもらいたい」などのような例外的なケースのみといえるでしょう。このような事情があるため、葬儀において宗教者に渡すことになるお車代の相場は、5000円~10000円程度だとされています。

葬儀は多くの人にとって、非日常的な経験です。聞きなれない言葉もよく出てきますし、「(葬儀における)宗教者へのお車代」もそのような言葉のうちのひとつだといえるでしょう。ただその意味や相場、考え方を知れば、理解することはそれほど難しくはありません。また、現在は交通費の相場もインターネットで簡単に調べられるようになっています。その意味では、昔よりはずっとやりやすくなったといえるでしょう。

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