故人を悼み、故人を偲ぶために行うのが「一周忌法要」です。
年忌法要のうちのひとつであるこの「一周忌法要」を取り上げて、
- 一周忌法要の基本知識と、招くべき人
- 身内だけで一周忌法要を行うことの是非
- 身内だけで一周忌法要を行う場合の案内状の基本
- 呼ばなかった人に対しての対応
について解説していきます。
※ここでは仏教における一周忌法要について取り上げます。
一周忌は、基本的には多くの人を招いて行う
一周忌法要は、年忌法要のうちのひとつです。現在では一般的に、四十九日法要の後に行われる初めての法要と位置づけられています。
年忌法要は、「回数を重ねれば重ねるほど、呼ぶ人の範囲が狭まっていく」という特徴をもっています。そのため、初めての年忌法要である一周忌法要は、比較的多くの人を招いて行うのが一般的です。ただし、葬儀(一般葬)とは異なるため、新聞などに告知を出すことはせず、家族(施主の家)が声を掛けた人だけが参列します。
一周忌法要では、家族・親族はもちろん、故人が親しく付き合っていた人や、故人の知人などまでに声を掛けて、みんなで故人のことを悼みます。
「親族は〇親等まで呼ばなければならない」などの明確な決まりがあるわけではありませんが、2親等(故人の孫や兄弟姉妹、祖父母)までには声を掛けるケースが多いといえます。ただし、「故人が甥っ子を可愛がっていた」「従兄弟と非常に親しく付き合っていた」などの場合は、血の繋がりの濃さに関わらず、その人たちをお招きするのがよいでしょう。
また、すでに述べた通り、血の繋がりはまったくなくても、家族同然に付き合っていた友人などを呼ぶこともあります。
身内だけで一周忌を行うことも、もちろん悪いことではない
一周忌法要は、比較的広範囲の人にまで声を掛けて行うものです。ただし、家族(身内)だけで一周忌法要を行うのも、決して悪いことではありません。
特に、
- 故人が非常に高齢であり、親族の多くが他界している。存命中の親族も病気を患っていて入院中であるため、招いても来ることが難しい
- 故人と親族の仲が非常に悪かった。葬儀にも参列しなかったので、一周忌法要に呼んでも断られることが予想されている
- 故人の遺言で、法要は小さくしてくれという話があった
- 残された家族の方針
- 残された家族の経済的事情により、一周忌法要を大きく行うことが難しい
などの場合は、家族だけで一周忌法要を行う選択肢も視野に入ってきます。
このときの「家族」は、故人の子どもや、故人と最後まで一緒に住んでいた同居家族、また故人の面倒を最後まで見ていた人が対象です。ただこれも厳密に決められているものではありません。「基本は同居家族のみで行うが、施設に最後まで定期的に見舞いに来てくれていた甥っ子だけは呼びたい」などのような希望があれば、もちろん呼んでも構いません。
家族だけで一周忌法要を行う場合は、「ご僧侶を呼ぶか、呼ばないか」もあわせて考えておきましょう。
一般的に一周忌法要は菩提寺のご僧侶を呼んで行いますが、
- 家族だけで行う小規模なものなので、ご僧侶は呼ばない
- 残された家族(特に施主)が違う宗教を信仰している
- 葬儀のときに菩提寺から心ない対応をされた
- 「宗教にのっとった儀式はしないでほしい」というのが故人の希望だった
- 故人家族ともに宗教への帰属意識が希薄である
という場合は、ご僧侶を呼ばないで一周忌の儀式を行うことも考えるとよいでしょう。
また逆に、「一周忌法要は家族だけでこぢんまりと行いたいが、故人が信心深い人だったので、ご僧侶は呼びたい」ということであれば、ご僧侶に声を掛けてお経をあげてもらうとよいでしょう。
身内だけで一周忌を行う場合の案内状の基本
身内(家族)だけで一周忌法要を行う場合の案内についても見ていきましょう。
一周忌法要は、基本的にはハガキで通知を行います。
- だれの一周忌法要か
- いつ行うのか(日時)
- どこで行うのか(場所)
- 食事の有無
- 施主の名前と住所、連絡先、故人との関係
いつまでに返信が欲しいか
を記したハガキを出します。なおこの案内状は、返信用ハガキと一緒に出します。
ただこれは、あくまで「一般的な一周忌法要の案内」です。
身内だけで一周忌法要を行うと決めた場合、声を掛ける範囲は非常に狭くなります。たとえば、「兄が施主となる。参列予定者は、兄の配偶者と兄の子ども、妹と妹の配偶者と妹の子どもまでである」という場合は、兄→妹に連絡すれば事足ります。このような場合は、電話のやりとりだけで済ませてもよいでしょう。ただし電話でのやり取りの場合は、日時や場所に聞き落とし・聞き間違いがないように、復唱したり、別途メールなどで文字で共有するようにした方が確実です。
また、極めて限られた範囲での案内であれば、LINEなどのSNSを使ったり、メールなどで連絡しても構いません。参列の意思や参加人数のやり取りなども、電話・LINE・メールで行っても問題ありません。
呼ばなかった人には挨拶状を
家族だけで一周忌法要を済ませると決めた場合、「それでは、呼ばなかった人に対してどのような対応を取るか」という問題が出てきます。
これにはいくつかのパターンが考えられます。
故人の生前の意思や、家族の意向で家族だけで一周忌法要を行ったが、親戚などとの付き合いがあった場合
このようなケースでは、親戚も「一周忌法要の際に声を掛けられること」を想定していたはずです。そのため、一周忌法要が終った後などに、「故人の意思により、家族だけで一周忌法要を行いました」などのように連絡するのがよいでしょう。挨拶状を出すのがもっとも正式ですが、電話やSNSで報告しても問題ありません。
なお、一周忌法要を行う前に先だって挨拶をする場合もありますが、その場合は相手から「仏前にお供えください」として香典が送られてくることもあります。香典が送られてきた場合はお返しなども考えなければなりませんから、この点には注意が必要です。
生前に付き合っていた人がほとんどいない
故人が非常に高齢であり、生前に付き合っていた人がほとんどいない場合は、連絡をする必要は薄いといえます。関係性が薄い相手に連絡をしてしまうと、「香典を要求している」という印象を持たれかねないので、このようなケースでは連絡を控える方がよいかもしれません。
立場的には連絡すべきだが、不仲の相手がいる
「故人の子どもであり、施主の弟にあたるが、生前から不仲だった」「金銭的なトラブルがあった」などの場合は、本来は連絡すべき相手であっても連絡したくないと考える人もいるでしょう。
一周忌法要に呼ばなかったからといって、法的な問題が起こるわけではありません。そのため、「一周忌法要に呼びたくない、一周忌法要があったことを連絡したくない」という気持ちが強いのであれば、無理に連絡する必要はないでしょう。
ただし「一周忌法要に呼ばないこと」と「遺産の話をしないこと」はまったく別問題です。特別な手続きをしたり、遺書が残っていたりしない限りは、たとえ不仲であっても故人の子どもは相続権があります。そのため、一周忌法要に呼ばなかった・案内をしなかった場合でも、遺産関係の話はしっかり行う必要があります。
一周忌法要は、基本的には親族などを招いて行うべきものです。
しかし家族(身内)だけで行っても、問題のないものではあります。家庭の事情や考え方を踏まえたうえで、「どこまで呼ぶか」を決めていくとよいでしょう。
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