故人を悼み、その思い出を偲ぶ「一周忌法要」は、仏教において非常に重要な法要です。そしてこの一周忌法要には、喪主が何度か挨拶を行うタイミングがあります。
ここでは「一周忌法要の挨拶」をキーワードに、
- どのタイミングで挨拶を行うか、一周忌法要の挨拶の基礎知識
- 挨拶のときに言うべき要素と、その例文
- 参列者として一周忌法要に出たときの挨拶
について解説していきます。
※基本的にここでは仏教の葬儀~法要を想定していますが、挨拶のタイミングはほかの宗教でもあまり変わりありません。また、一周忌法要の場合は葬儀のときに比べると、宗教・宗派色の薄い挨拶となるため、仏教以外の宗教でも似た挨拶内容となります。
一周忌法要の挨拶、どのタイミングで行う?
一周忌法要の挨拶を行うタイミングは、基本的には、
- 法要前
- 法要後
- 納骨式の前
- 納骨式の後
- 会食の開始前
- 会食が終わった後
です。
ただ、納骨は一周忌法要のタイミングで行うことが多いものの、
「まだ気持ちの整理がつかないから、一周忌法要のときには納骨をしない」
「お墓の準備が間に合わなかった」
などの事情があるケースも存在します。このような場合は、納骨式の前・納骨式の後の挨拶は行いません。
また、一周忌法要では多くの場合会食を行いますが、
「感染症予防の観点からまだ慎重にしたい」
「故人の意向もあり、小さな弔いを希望している」
「人が揃わない」
などのような事情で、会食をしないケースもあるでしょう。このようなときは、会食の開始前・会食が終わった後の挨拶を行う必要はなくなります。
一周忌法要の挨拶は、基本的には喪主(施主)が行います。ただ喪主(施主)の身心の状態がよくなかったり、挨拶が苦手だったりする場合は、ほかの人間が代行することもあります。なおこの代行は、喪主(施主)の弟妹などが務めることが多いのですが、明確な決まりがあるわけではありません。
葬儀のとき同様、一周忌法要の挨拶でも、
- 死を直接的に表現すること(「死んだとき」「生きていたとき」など)
- 重ね言葉(「重ねがさね」「たびたび」など)
- 縁起の悪い言葉(「浮かばれない」「迷う」など)
は使いません。
なお仏教用語としてよく知られている「ご冥福」という言葉は、厳密には浄土真宗では避けるべき表現とされています。浄土真宗では、「亡くなった人はすぐに成仏する」という考えをとっているからです。
一周忌法要の挨拶の例文と、言うべき要素
上記を踏まえたうえで、一周忌法要の挨拶の例文と、そのときに言うべき要素について解説していきます。
法要前
本日はお忙しいなか、故○○のためにお集まりいただきまして誠にありがとうございます。
これより、故○○の一周忌法要を執り行わせていただきます。
法要前の挨拶は、
- 足を運んでくれたことのお礼
- だれの一周忌法要を行うか
- 今から一周忌法要を行うこと
を組み込んだものとします。なお、ここにプラスして、故人と喪主の関係(「故・父○○」など)を入れたり、読経を務める住職の所属寺と名前を入れたりしてもよいでしょう。
また、雨や雪など天候が悪いときに一周忌法要を行う場合は、「お足元の悪いなかお集まりいただき」などのような言い回しをとることもあります。
法要後
おかげさまをもちまして、故○○の一周忌法要を無事に終わらせることができました。故人も喜んでいることと思います。この後、○○寺の墓地にて納骨を行いますので、みなさまご移動をよろしくお願いいたします。
法要後の挨拶では、
- 無事に一周忌法要を終えることができたことの報告
- 次のステップ(ここでは納骨)の案内
を行います。また、上でも述べたように、「故人も喜んでいる」「故人に代わって礼を言う」などのように、故人に触れたフレーズを入れることもあります。
納骨式の前
それではこれより納骨式を行います。お手数をおかけして申し訳ございませんが、こちらをお持ちいただけますでしょうか。
納骨式の前の挨拶は、基本的には「納骨式を行うこと」を告げるだけでかまいません。
ただし、ご遺骨を入れるときに人手がいる場合は、必要に応じてお手伝いをお願いします。
お墓の形態はさまざまで、骨壺を入れるためのカロート(納骨室。多くの場合、墓石の下にある)を開ける場合、「一人で簡単に動かせる」「自分たちで動かすことはできるが、2人以上が必要(もしくは2人以上がいた方が望ましい)」「墓石業者に依頼しなければ難しい」など、タイプによって大きな違いが見られます。そのため、一周忌法要のタイミングで納骨を行うと決めた場合、事前に墓石業者に日時と手順、やり方などを聞いておく必要があります。
納骨式の後
本来は御多忙のなか、故○○の一周忌法要ならびに納骨式にご足労いただきまして、誠にありがとうございます。これにて、一周忌法要ならびに納骨式を終了させていただきます。この後、粗宴ではございますが、食事の席を××会館にてご用意しております。よろしくご移動をお願いいたします
納骨式が終わった後は、
- 一周忌法要と納骨式が終わったこと
- 一周忌法要と納骨式に参加してもらったことのお礼
- この後の案内
を行います。また、バスなどによる移動が可能な場合は、そのことも案内します。
会食の開始前
本日は故○○のためにお集まりいただきましたこと、深くお礼申し上げます。
ささやかながらお食事の席をご用意させていただきました。お時間の許す限りお寛ぎいただき、故人の思い出話などをお聞かせいただければ幸いです。
会食前の挨拶は、
- 食事の席を用意したこと
- 寛いで過ごしてほしい旨
を告げます。また、「故人の思い出話を聞かせてほしい」と言い添えてもよいでしょう。なおこの後に、喪主が献杯の音頭を取る場合はこのまま「献杯」と言い添えます。喪主以外の人が音頭を取る場合は、「それでは○○様、献杯のご発声をよろしくお願いいたします」と続けます。
会食が終わった後
皆様、本日は故○○の一周忌法要にご参列いただきまして誠にありがとうございました。
思い出話は尽きることはございませんが、これにておひらきとさせていただきたく存じます。
これからも、故人の生前同様、変わらぬご指導ご鞭撻賜われればと思います。
外では雪もちらついております、皆様、どうぞ足元にお気をつけてお帰りください。
本日は誠にありがとうございました。
会食の後の挨拶は、一周忌法要での最後の挨拶です。
ここでは、
- 閉会すること
- 故人の生前同様の指導や支援をいただきたいこと、縁を続けていきたいこと
- 気を付けて帰ってほしいこと
- 最後のお礼
で構成します。
また、「故人も喜んでいる」と話したり、故人の思い出のエピソードを簡単に添えたりするのもよいでしょう。
参列者の振る舞いについても知っておこう
ここまで喪主側の挨拶について解説してきましたが、最後に参列者側の振る舞いについても簡単に解説します。
生死を直接的に表現しないことや、重ね言葉や忌み言葉を使わないことなどの基本ルールは、喪家の場合と同じです。また、死因について聞くことも避けましょう。加えて、ご家族の方々が「大往生だった」「長生きして、幸せに亡くなった」と言っていても、参列者側からこのような言葉をかけることは避けるべきです。
一周忌法要の場についたら、まずご家族に簡単に声をかけます。閉会後もそのまま帰るのではなく、ご家族に一声かけてから失礼するようにします。基本的には短い言葉で挨拶をするのが基本ですが、「また何かお手伝いできることがあったら、いつでも電話してね」などのように寄り添う言葉を選ぶと、ご家族も心強く思われることでしょう。
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