終活の過程のなかには、「自分の身の回りのものを整理する」という段階があります。
この記事ではこれを、「身辺整理」をキーワードに解説していきましょう。
身辺整理は、終活のいち過程で行うもの
「身辺整理」とは、文字通り、身の回りのものを片付け、整理していくことをいいます。なおこのときの「もの」とは、物品そのものだけを指すのではなく、財産の整理や人間関係の整理も含まれます。
身辺整理という言葉自体は、終活のときに限らずに使われるものです。ただここでは、「自分の最後のときを見据えて行う整理」「終活のいち過程」としての意味で、「身辺整理」の言葉を使っていきます。
終活のなかで行う身辺整理、何を、どんな風に整理する?
終活のなかで行う身辺整理は、大きく次の3つのカテゴリーに分けられます。
- 物を捨てる
- 財産について考える
- 人間関係の整理を行う
それぞれ、どのような意味があるのか、またどのような方法で行っていけばいいのかを解説していきます。
物を捨てる3ステップ
「終活のいち過程としての身辺整理」と聞いたときに、まず多くの人が「やらなければ」と思うのは、やはり「物を捨てること」でしょう。これは今からすぐにでも取り組むことができるものであり、またしっかりやっておくことで、老後の自分や残していく人の面倒を減らせるものでもあります。
終活の一環として物を捨てる場合は、3ステップで段階的に行っていくと効率よく進められます。
捨てそびれていた家具や電化製品を捨てる
まず、何よりも先に「捨てそびれている家具や電化製品を捨てること」を考えます。
「家具や家電製品は買い替え時に処分するので、古い物が残ることはないのではないか」と感じている人も多いと思われます。しかし実際に亡くなった人の家を片付けていると、洗濯機が2台出てきたり、中がまったく空っぽの棚が3つ以上出てくることはよくあります。
現在は家具や家電製品を捨てるためには手続きとお金が必要ですし、高齢になってくると「家具や家電製品を表に出す」「引き取りの連絡をする」ことがそもそもおっくうになってしまいます。さらに、一軒家の場合はアパートやマンションとは異なり、「捨てずに置いておけてしまうスペース」があるため、このような状況になりがちです。
残された家具や家電製品を、ご家族が処分するのはなかなか大変です。そのため、このような、これから先絶対に使わないもので、かつサイズの大きい物はすぐに処分しましょう。
「数年使っていないもの」「もう使わないもの」を捨てる
次に、「数年使っていないもの」「もう使わないもの」を捨てます。
何かのときに使うかも……と思って取っておいた物も、数年単位で使っていないのであれば、それはもう今後も使う可能性はほぼありません。また、よほど高価なものでなければ、必要になったときに買い直す方が現実的です。
ただ、「もう何年も着ていないけれど、思い入れがある服」などのようなものもあるでしょう。そのようなものは、写真にまずは撮りましょう。そして、「必要になったら開けるボックス」に一度入れて、1年ほどの時間を置きます。その1年の間でそのボックスを開ける機会がなかったのなら、そのボックスごと捨てるのがよいでしょう。なお捨てる際に一度開けてしまうとまた同じことになってしまうので、捨てるときには開けずにそのまま捨てます。
「必ず必要になるもの」以外を捨てる
最後に、「必ず必要になるもの」以外を捨てていきます。
人間が最後に必要とするものは、それほど多くありません。「捨てなければならない物」「もう使わない物」を捨てたら、最後に、「必要だと断言できる物」以外を捨てていきます。
この段階まで来ると、身の回りはかなりすっきりします。不要な物を捨てることで家も広く感じられるようになりますし、高齢になってからも動きやすい行動導線を確保できるようになります。また、引っ越し(高齢者施設への入居や子どもとの同居など)を行うときもスムーズに進められますし、旅立った後のご家族の手間も大きく減らせます。
財産についても考えよう
財産に関することも、終活の身辺整理のなかで考えるべきことです。
財産目録を作り、可能ならば不要な財産を処分する
まず、「自分が何を持っているか」の財産目録を作ります。貯金の口座などをまとめ、不動産情報などを書き出しておきましょう。また、可能ならば不要な財産を処分するための手続きを始めましょう。資産価値の有無に関わらず、「不動産」を残された人はその処分に大変な手間と時間をかけなければならなくなります。場合によっては処分までの期間が必要になることも珍しくありません。このような手間をなくすために、自分で整理できる間に不動産を整理するのが望ましいといえます。
だれかに引き継がせたいものは、エンディングノートなどに記載を
「この着物は〇ちゃんに渡したい」などの希望がある場合は、エンディングノートにその旨を記載しておきます。特に思い出のある品物については、きちんと明記しておくとよいでしょう。
ただしエンディングノートは法的拘束力を持ちません。
そのため、確実に財産を引き継がせたいのであれば、エンディングノートではなく、遺言書に書いておく必要があります。
デジタルサービスやサブスクの解約を
現在は財産やサービスのかたちも変わり、デジタルサービスやサブスクを利用する人も多くなっています。このようなデジタルサービスやサブスクは、本人しか把握していないことが多いものであり、残された人は「そもそもそのサービスを利用していたこと」を知らないままであることも多いといえます。
デジタルサービスやサブスクを利用している場合は、そのサービス名と問い合わせ先、パスワードなどを記しておきましょう。またこの機会に、不要なサービスを解約しましょう。
「人に関わるもの」は慎重に
最後に、「人に関わる身辺整理」について考えていきましょう。
思い出の品物をどうするか考える
思い出深い着物やアルバム、人からの手紙などをどうするかを考えましょう。
思い出の物は、ただの「物品」とは異なります。このため、ほかの物とは異なり、捨てるか残すか迷ったら残す、という選択肢をとってもよいでしょう。一度捨ててしまった思い出の品物は、二度と手元には戻ってこないからです。
ただ、「自分のなかで、8割がた捨ててもよいかなと思っている」という場合は、写真に撮った後に処分してもいいかもしれません。また着物などの場合は、「写真+布の一部を切り取って、額縁などに入れる」という方法をとる人もいます。
連絡してほしい人の情報を整理する
自分が亡くなった後に連絡してほしい人の情報を、エンディングノートにまとめるのも大切です。
このときには、名前/関係性/住所/電話番号を記しておくと、残された人が迷わなくて済みます。これは特に葬儀の段階で役に立つ情報です。
またこの際には、それぞれの人に対してメッセージも残すとよいでしょう。
デジタルデータやパスワードなどをまとめる
現在は多くの人がSNSを楽しんでいます。なかには、「実際に会ったことはないが、趣味のSNSを通じて10年以上の付き合いになっている友人がいる」という人もいるでしょう。
しかしこのような関係では、本人が亡くなった場合、それを知るすべがありません。そのため、エンディングノートにIDやパスワードを書き記しておき、「自分が死んだら告知してほしい」などのようなことづてをすることも考えた方がよいでしょう。
また、パソコンに写真などを保存している場合は、ロック解除のためのパスワードも記しておきます。
いつかは必ず来る「その時」のために、しっかり身辺整理をしておきたいものですね。
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