ご家族が亡くなった2024年を過ごし、そして2025年を迎えようとしている……。
このようなご家庭のために、「喪中の年越し」をテーマにして、その過ごし方や喪中はがきの出し方などについて解説していきます。
「喪中」の基本知識
「喪中の年越し」について解説する前に、「そもそも喪中とは何か」「喪中と忌中の違い」「なぜ喪中には年始の挨拶を控えるべきとされているのか」などの基本知識について解説していきます。
喪中と忌中の違い、期間について
喪中とは、一般的に、「家族が亡くなってから1年以内の期間」を指す言葉です。かつては法律で「亡くなった人との関係性によって、服すべき喪の期間は異なる」としていましたが、現在は一律で1年程度とされるようになりました。
対して忌中とは、「その人が亡くなってから、四十九日法要が終わるまでの期間」を指します。なおこの忌中という言葉は厳密には仏教の考え方から来ているものですが、神道などにも同じような考え方があります。
喪中と忌中はいずれも故人を思って偲ぶ期間ではありますが、喪中と忌中ではしても良いことが異なります。結婚式への参加や年始の慶事への参加などは控えるべきとされているのは共通ですが、さらに忌中の場合は、お歳暮やお中元、旅行に対しても慎重になるべきだと考えられています。
対して喪中の場合は、ここまでの制限はありません。
なぜ喪中は挨拶を控えるべきとされているか
喪中は、亡くなった人を偲び、静かに過ごすべきだと考えられています。亡くなった人のことを思い、しめやかに暮らすべき期間であるため、慶事には参加しないのです。
また、神道では死を「穢れ」ととらえます。そのため、神様のおわすところであり神域である神社に穢れが及ばないようにと、神社への参拝を行っては行けないといわれています。
現在の「喪中」について
かつては、「服忌令」というかたちで服喪期間が定まっていて、「夫と父母の場合は13か月、妻や嫡子の場合は90日、それ以外の末子や継父母の場合は30日」などのようにされていました。
ただ現在ではかなり考え方が柔軟になってきています。
「年賀状を出さない」ということは慣例的に守っている人は多く見られますが、「(本来は控えるべき結婚も)亡くなった人が希望していたから、服喪期間であっても行う」という人も増えてきました。
このあたりはご家庭によってかなり考え方に違いが見られるので、話し合って決めるとよいでしょう。
喪中、家での過ごし方
ここからは、喪中のときの年末年始の過ごし方と、「してもよいこと、控えるべきこと」について解説します。
なお前述したように考え方には多少の差があるので、実際にどのように過ごすかはご家族同士で話し合うことをおすすめします。
※年賀状については後述します。
お歳暮→【〇】
忌中のときは控えるべきとされるお歳暮ですが、喪中の場合は問題がないとされています。お歳暮は、一年間お世話になったことに感謝するものであって、慶事ではないと考えられるからです。
なお、のしは白い無地のものを使うとよいでしょう。
年越しそば→【〇】
げんかつぎの意味や縁起の意味が大きいため、年越しそばは食べても問題がないと考えられています。長寿を願って食べるものですから、亡くなった方に思いをはせながら口に運ぶのもよいものです。
正月飾り→【×】
正月飾りは年神様をお迎えするものです。そしてこの年神様の考え方は、神道の教えを元にしています。すでに述べた通り神道は死を穢れとしてとらえるため、年神様を招いて穢れを移すことはNGとされています。
おせち料理→【×】
年越しそばもおせち料理も両方ともげんかつぎの意味があるものですが、おせち料理は慶事としての性格が強く出るものです。特に「おめで鯛」を意味する鯛や、慶事の祝儀にも使われている紅白の水引と同じ色の紅白のかまぼこなどは避けるべきです。
古来より慶事に使われてきた「餅」に関しても慎重になるべきという考え方がありますが、具材を少なくし、通常のおやつとして食べるときのようなかたちで出すのならば問題ありません。
初詣→【△】
すでに述べた通り、神域である神社には、喪中・忌中期間には行ってはいけません。
しかし神社に初詣に行くのは問題ありません。
神道では死を穢れととらえますが、お寺はこのように捉えないからです。なおこの2宗教の死生観の違いは、
- 神社には基本的には墓がない
- お寺には墓がある
- 神社では葬儀を行えない
- お寺では葬儀を行える
などの違いからも見て取れます。
「新年のお参りをしたいが、神社には行けない」というときは、お寺に初詣に行くとよいでしょう。
喪中はがきの出し方について
最後に、喪中はがきの出し方について解説していきます。
喪中はがきとは、「今年は喪中であるため、(本来はすべき)新年の挨拶を欠礼させていただきます」という意味を持たせて出すことになるはがきです。
なお喪中はがきはあくまで「自分が、新年の挨拶できないことを謝るもの」であるため、人から来た年賀状は受け取っても問題ありません。
12月中旬まで
喪中はがきは、可能ならば11月中、基本的には12月初旬まで、遅くても12月15日までには出します。これ以降に出してしまうと、相手がすでに年賀状を手配している可能性があるからです。
2親等までが基本
喪中はがきは、2親等までの親族が亡くなった場合(※婚家含む)に出します。
2親等とは、祖父母・兄弟姉妹とその配偶者、孫とその配偶者までです。
おじおばは基本的には出しませんが、親代わりに育ててくれた人たちだったなどのような事情があれば、出してもよいでしょう。
少し縁が遠い人や家族葬の場合は、喪中はがきで訃報の代用もできる
訃報は一般的には電話やはがき、あるいはSNSなどで知らせるものです。
ただ、「家族葬だったので声をかけなかった」「亡くなったことは知らせたいが、わざわざ御足労いただくほどには関係が近くない」という人もいるでしょう。
そのような人には、この喪中はがきで、訃報に代えることができます。
12月中旬などに亡くなった場合は、12月15日までならば出す。
「亡くなったのが12月10日だった」などのような場合は、「12月15日までに間に合いそうならば、喪中はがきを手配する」というやり方がよいでしょう。
それ以降の場合は、喪中はがきも年賀状も出しません。その代わり、年賀状を送ってきてくれた人に寒中見舞いを出します。
喪中はがきの例文
最後に、喪中はがきの例文を記します。なお喪中はがきは、縦書きとし、句読点を入れないで作ります。
「喪中につき年末年始のご挨拶を失礼させていただきます
〇月×日に、母(喪主から見た関係)の△△が◇歳にて永い眠りにつきました
本年中に賜りましたご厚情に心から感謝申し上げますとともに 明年にも変わらぬご指導ご鞭撻を賜りますこと何卒よろしくお願いいたします
きたる年が皆様にとって幸多きものとなりますよう衷心からお祈り申し上げます
日付+住所+喪主名+差出人の名前」
現在は昔とは異なり、喪中期間の過ごし方も多少違ってきています。しかし愛しい人が亡くなった年に身を慎み、それを偲ぶために年始の過ごし方を考えるという生活様式は、今も昔も変わりありません。
贈儀計画コラムでは、人生の儀式における皆さまの悩みをサポート致します。
葬儀・介護・相続・お墓・結婚などそれぞれの課題を、情勢に合わせ専門のサポートスタッフがいつでもご相談を承ります。まずはお気軽にご相談ください。
冠婚葬祭セリエンス(贈儀計画コラム運営企業)
電話番号:0120-34-5183 受付時間:9:00-17:00
インターネットでのお問い合わせは24時間承っております。