「バケットリスト」という言葉は、日本人にとってはあまりなじみのないものかもしれません。しかし近年広く知られるようになった終活とこのバケットリストには、深い関係があります。またバケットリストは、終活を効率よくかつ前向きに行っていくためにも役立ちます。
ここでは、「バケットリストとはそもそも何か」「バケットリストを作るときのポイント」「終活におけるバケットリストの書き方について」を取り上げて解説していきます。
バケットリストとは、「したいこと」を書き出したリストのこと
バケットリストとは、「自分が生きているうちに行いたいこと」をまとめたリストのことをいいます。
もともと「バケット」は”kick the bucket=死ぬ”から来た言葉であり、そこから転じて「自分が旅立つ前にやっておきたいことをまとめたもの」という意味で使われるようになりました。2007年に公開された映画「最高の人生の見つけ方」で注目を浴びたほか、現在は11月3日がバケットリストの日に制定されるなど、日本でも徐々に注目を浴び始めています。
このバケットリストは、終活とも非常に相性の良いものです。
終活は「財産目録を作り、遺産を渡したい人を決める(※ただし、法的な拘束力を持たせるためには、遺言書の作成が必要)」「自分の身の周りのものを整理する」「大切な人に思いを伝える」「終末期医療や葬儀、お墓についての希望と伝達事項を記す」という性質を持っているものです。ただ終活の意味はそれだけではなく、「現在の自分の状況を顧みて、最後の時を悔いなく迎えるための準備をする」といった意味も持ちます。人間はやり残したことがあると悔いも残るものですが、バケットリストを作成してそれに向き合っていくことで、この「やり残し」を最小限に抑えることができるのです。
バケットリストは、人生を最後まで自分らしく後悔なく生きようとする人にとって、非常に有用なものだといえます。
バケットリストを作るときのポイントとは
ここからは、バケットリストを作るときのポイントについて解説していきます。
バケットリストを作るときには、下記の4点に注意するとよいでしょう。
- 実現可能性は考慮しない
- 素直な気持ち、素直な願いを書く
- 小さいことから大きなことまで、いろいろなことを書く
- 「~したい」ではなく、「~する」で書く
実現可能性は考慮しない
バケットリストを作るときにもっとも重要なのは、「実現可能性は考慮しない」ということです。
たとえば、「オーロラを見に行きたいけれど、もう足腰が弱いので行くのは難しい」「今から介護福祉士の資格を取りたいが、60歳を超えているので今から勉強するのは現実的ではない」などのような「現実のストッパー」を外して、やりたいことをそのまま書いていきます。
実際にそれを実現できるかどうかは、バケットリストを作るときには考慮しません。
素直な気持ち、素直な願いを書く
上の「実現可能性は考慮しない」とも関わりがある話ですが、バケットリストを作るときは、素直な気持ちで素直な願いを書くことが大切です。
大人になっていくにしたがって、人は「自由に願い事を書いてもよい」と言われても、無意識のうちに「実現できそうなこと」「人に見られたときに、笑われないで済むようなこと」「大人としての理性を疑われないようなこと」を書こうとします。たとえば、「現在貯金が1000万円あるが、あと20年のうちに2000万円まで増やしたい」と書く人はいても、「現在貯金が10万円しかないが、億万長者になりたい」と書く人はそれほど多くありません。また、「子どものころに好きだった漫画の初版本をすべて集めたい」などのような願い事を書くことには、ちゅうちょする人も多いことでしょう。
しかしバケットリストは、だれかに見せることを目的として作るものではありません。自分自身の今の素直な気持ち、自分自身の今あるいは将来やりたいことを、何の縛りもなく書いていくべきものです。
小さいことから大きなことまで、いろいろなことを書く
バケットリストに書く「やりたいこと」は、小さいことでも大きいことでもかまいません。たとえば「1か月以内に、違う味のパスタを5種類食べる」というごくささやかなものから、「5年以内にヨーロッパ全域を1か月かけてまわる」などのようにやや規模の大きなもの、さらには「亡くなるまでに東京に一戸建てを買う」などのように非常に規模が大きいものまで、なんでも書いてしまってかまわないのがバケットリストの特徴です。
小さな目標を多く書き込めば、それだけ「やりとげた」という充実感を得られやすくなります。また、これをクリアしていくことで、成功体験を積み重ねることができますし、新しいことに挑戦してみようとする気力もわいてくるでしょう。その成功体験やモチベーションが、より大きな目標の実現にも繋がります。
「~したい」ではなく、「~する」で書く
バケットリストは非常に特徴的な書き方をとるものです。なぜならバケットリストは、自分自身の願望を書くものでありながら、基本的には「~したい」ではなく、「~する」という書き方をとるべきものだからです。
言葉は力を持っているため、「~する」と断言調で言いきることで、自分自身への良い意味でのプレッシャーとすることができます。これによってより本気で目標に取り組むことができるようになり、目標を叶えやすくなるでしょう。
終活におけるバケットリストの書き方について
バケットリストには、何を、どんな順番で書いてもかまいません。ただ、「それでも何を書けばいいかわからない」と悩む人もいることでしょう。そのような場合は、下記のカテゴリーに分けて書いていくようにします。
会いたい人
「月に1回、孫に会う」「昔物別れした友人と仲直りする」「50年来の付き合いのある親友と、一緒に旅行に行く」などのように、会いたい人について書いていきます。
相手のあることですから100パーセント実現することは難しいかもしれませんが、バケットリストでは「会えるか会えないか」ではなく、「自分が会いたいかどうか」を基準として記していくことが大切です。
手に入れたいもの
「自分一人のために調合してもらった香水を手に入れる」「温泉がひける田舎のマンションを買う」「昔好きだったゲームの派生作品をすべて集める」などのように、手に入れたいものを具体的に記すのもよいでしょう。
「物」は書き表すことが容易であるため、小さいものから大きなものまで書いていくとリストの達成感を味わいやすくなります。
行きたい場所
「ハワイの高級ホテルで1週間過ごす」「オーロラを見に行く」「コアラとの触れ合いのために、オーストラリアに渡る」などのように、行きたい場所も記しておきましょう。
なおここで言う「行きたい場所」は、旅行先である必要は必ずしもなく、「子どもの住んでいる隣町に、2か月に1回程度行く」などのように近場であってもかまいません。
やりたい仕事や学びたいこと
物事を習い始めるのに、遅すぎるということはありません。
「介護の勉強をする」「あと2年以内に、国家資格を3つ取る」「ポーセラーツの学校に通う」などのように、やりたいことや学びたいことを記しましょう。
この項目は、ほかのリストよりもさらに「人生のモチベーション」「前向きに人生を生きること」につながりやすいものです。
健康やライフスタイルについて
「1日に5000歩歩く」「1か月に1キロずつ落としていく」「毎年健康診断を受ける」「家をバリアフリーに改築する」「配偶者と過ごす時間を増やす」などのように、健康やライフスタイルに関することもバケットリストに盛り込んでおきましょう。
年齢を重ねると、どうしても健康面で不安が出てくるものです。しかし、具体的に健康面やライフスタイルの改善をリストに盛り込むことで、これらの不安を解消することができます。
「これからの人生を前向きに生きること」につながるバケットリストは、終活の一環として行うと非常に効果的です。最後まで自分らしく悔いなく過ごせるようにするために、バケットリストの作成をしましょう。
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