相続にはさまざまな手続きがありますが、それぞれ「時効」が定められていることをご存知でしょうか?その期限内に手続きを行わないと、相続に関する権利が失われたり、デメリットが生じたりします。
今回は、相続に関する7つの時効について、わかりやすくまとめました。具体的な期間やデメリットなどについても記載していますので、参考にしてみてください。
時効とは?
日本の法律には、「時効」というものがあります。刑事事件では、時効を迎えると罪に問われなくなるという話を聞いたことがある方も多いかと思いますが、実は相続にも時効があるのです。
相続における時効とは、決められた期間が経つと、その権利を失うことを言います。それによって損をしてしまう場合もありますので、時効を迎える前に手続きを済ませることが重要なのです。
財産相続の時効は7つ
財産相続における時効は、全部で7つあります。それぞれの時効について、内容や期間などを説明していきましょう。
1.相続放棄
相続放棄とは、すべての財産を相続する権利を放棄することを言います。相続放棄をすると、プラスとなる財産もマイナスとなる財産もすべて、相続できなくなります。
相続権を持つ人の中で誰かが相続放棄を行うと、残った相続人で財産を分割します。相続放棄については、子供や孫への代襲相続は行われません。
相続放棄の時効
相続放棄の時効は、3か月と短期間になっています。この間に手続きが行われないと、相続放棄をすることはできません。
相続放棄を行うためには、家庭裁判所に必要な書類を提出して「申立て」を行う必要があります。時効を過ぎてしまわないよう、早い段階で財産の有無などを確認しておくことが大切です。
2.相続回復請求権
相続回復請求権とは、誰かが虚偽で相続権があると主張して財産を占有している場合に、本来の相続人がその権利を回復するためのものです。
具体的には、虚偽の出生届や認知届で子供となっていたり、養子縁組が無効になっていたり、相続欠格者に当たる場合だったり、といったパターンになります。
相続回復請求権の時効
相続回復請求権の時効は、相続権が侵害されていることを知ってから5年とされています。しかし、何もしなくても相続手続きが開始されてから20年を経過すると、時効を迎えてしまいます。
3.遺留分減殺請求
遺留分とは、遺言が残っていたとしても、相続人が最低限相続できる割合を示したものです。
仮に、被相続人が「長男にすべて財産を相続させる」と遺言で残していたとしても、遺された長女や次男といった相続権を持つ人たちも、遺留分の相続を求めることができます。この遺留分の権利を主張することを、遺留分減殺請求と言います。
遺留分減殺請求の時効
遺留分減殺請求の時効は、自らの遺留分が侵害されていることを知ってから1年とされています。ただし、何も手続きが行われないと、相続が開始されてから10年経過すると時効を迎えることになっています。
4.遺産分割請求権
遺産分割請求権とは、相続権を持つ人が遺産分割をすることを申し出る権利のことを言います。遺産分割協議が成立していなければ、相続人は何度でもこの権利を主張することができます。
遺産分割請求権の時効
遺産分割請求権には、基本的に時効はありません。遺産分割協議をしなかったとしても、相続人はその権利を持ち続けることになります。
しかし、早めに遺産分割をしないと、相続人全員で財産を共有している状態が続いてしまいます。のちのち、管理や売却などでトラブルの元となりかねませんので、早めに遺産分割はした方が良いでしょう。
5.不動産の名義変更(相続登記)
不動産の名義変更(相続登記)とは、家や土地などの不動産を所有していた人(被相続人)が亡くなった場合に、相続人へと名義変更することを言います。不動産の名義変更自体は「所有権移転登記」と言いますが、相続によって名義変更をする場合には「相続登記」と呼ばれます。
不動産の名義変更(相続登記)の時効
相続登記には時効はありませんし、必ずしなくてはならないと定められているものでもありません。ですので、相続登記をしないままで、不動産を放置しておくことも可能です。
しかし、相続登記をしないことでデメリットも生じます。相続人同士で所有権を主張しあってトラブルが起きるかもしれませんし、名義が亡くなった人のままでは売却もできません。こういったデメリットを回避するためにも、相続登記は早めに行った方が良いでしょう。
6.相続した借金の時効
相続人は、預金や不動産、株などのプラスになる財産だけでなく、借金などのマイナスになる財産も相続することになります。
個人での貸し借りによる借金は、時効が10年と定められています。この10年のスタートは相続の開始時点ではなく、被相続人が最後に返済をしたときです。もしも一度も返済していないのであれば、借金をした時点になります。
しかし、相続人が借金の存在を知って一度でも返済をしてしまった場合、10年のスタートはその時点になります。
7.相続税
相続税とは、財産を相続する際に、その金額が大きかった場合に払わなければならない税金のことです。支払わなければならない相続税の額には決まりがあり、以下の計算式で求められる基礎控除額を超えなければ、相続税は支払う必要がありません。
基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数
つまり、相続人が1人だった場合、財産の額が3,600万円を超えなければ、相続税を支払わなくても良いことになります。
相続税には申告期限があり、相続の開始を知った日から10か月以内に申告しなくてはなりません。この期限を過ぎた場合、無申告加算税や延滞税などの税金がさらにかかってしまうほか、適用されるはずだった控除が適用されなくなってしまう可能性もあります。
相続が開始されたら、早い段階で相続税の申告が必要かどうかを判断する必要があるでしょう。
相続税の時効
相続税の支払いには、申告期限とは別に時効が定められています。原則として5年が経過したら、国は相続税の徴収をする権利を失うことになります。ただし、悪意を持って隠していたり、支払わなかったりした場合は、7年です。
相続税を期限内に支払っていないことが発覚した場合は?
時効になれば相続税を払わなくても良いのではないか、バレなければいいのではないかと考える方が、もしかするといるかもしれません。しかし、国も税務調査をしっかり行っており、時効を迎える前に未払いであると指摘されることが多いです。
万が一、期限内に支払わずに、そのことが後から発覚してしまった場合、加算税(延滞税、無申告加算税、過少申告加算税、重加算税)が課せられることになります。あまりに悪質な場合は、脱税行為として起訴される可能性もまったくないわけではありません。
相続税を支払う必要があるかどうかをきちんと確認し、期限内に必要な額を納めるようにしましょう。
まとめ
今回は、以下の相続に関する7つの時効についてご説明しました。
- 相続放棄
- 相続回復請求権
- 遺留分減殺請求
- 遺産分割請求権
- 相続登記
- 相続した借金
- 相続税
それぞれ定められた時効を迎える前に手続きを済ませないと、さまざまなデメリットが生じます。時効の長さは個々で違いますので、それぞれの期限を把握し、適切な対処をするよう心がけましょう。
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