【神道の葬儀】知っておくべき4つのマナーと全体の流れを解説!

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神道は、天照大神をはじめ、国家や土地ごとの神様を信仰の対象として、日本で古くから大切にされてきた宗教・宗派の一種です。

今回は、さまざまな葬儀式に参列する機会のある大人なら仏式とあわせて知っておきたい、神道の葬儀式「神葬祭」について解説していきます。

神葬祭に参列するときに守るべき4つのマナーをはじめ、式典の具体的な流れや、神葬祭の費用相場のことまで、わかりやすくご紹介していきます。

参列するときに慌てないためにも、ぜひ最後まで目を通しておいてくださいね。

神道の葬儀とは?

仏教とならび、日本で古くから信仰されてきた神道の考え方や様式にのっとった葬儀のことを「神葬祭(しんそうさい)」と呼びます。

神葬祭は、一般的な仏教式の葬儀と同様、故人の自宅や葬儀会場などで神社から来た神職によって執り行われますが、その様式や作法は仏式とは異なっています。

神道と仏式の葬儀の違い

神道と仏式の葬儀の違いは、そのまま「故人の魂と供養に対する考え方の違い」と言えます。

それぞれの細かい宗派の違いによっても異なってきますが、一般的な神道と仏教での故人や葬儀への考え方は、以下のようになります。

神道における死、故人の魂への考え方

死そのものは穢れであるが、故人の魂は清めて家に留め、家の守護霊・守護神となるべきものと考えられています。

遺体は死=穢れの象徴であるため、神聖な神棚や神社などの聖域に触れるべきではないと考えられ、神社の境内で葬儀が行われることはありません。

神道の葬儀である神葬祭では、故人の魂を身体から取り出して清め、家を守る守護神にするための儀式が行われます。

仏教における死、故人の魂への考え方

仏教において、故人の魂は仏様のおられる極楽浄土に送られ(成仏)、仏のもとで安らかに暮らせるように供養すべき対象と考えられています。

死は穢れであるという考え方はないため、遺体を仏様のお傍である寺の中に運び入れて、寺で葬儀を行うというケースもあります。

仏式の葬儀では、故人の魂が無事に仏様のいる極楽浄土にたどり着けるよう、なぐさめ、導くための儀式が行われます。

神葬祭における4つのマナー

神道の神葬祭が何のために、どのような考え方に沿って行われるのかわかったところで、次は神葬祭における作法やマナーを確認していきましょう。

仏式の葬儀とはかなり違いがありますので、よく確認してくださいね。

数珠は持っていかない

数珠はもともと、仏教の僧侶が読んだお経を数えるために持っていたものと言われ、仏式の葬儀式でのみ使用されるものです。

数珠を神道の神葬祭に持っていくのはマナー違反になりますので、気を付けましょう。

正式な喪服を準備

服装については、一般的な仏式の葬儀と同様、正式な喪服を着用していけば問題ありません。

地域や親族間の慣習によっては黒紋付の礼服(着物)や燕尾服を着用すべきとされることもあるかもしれませんが、一般的には通夜から洋装タイプの喪服と考えて良いでしょう。

男女それぞれ、以下を参考にして喪服を用意してくださいね。

男性の場合

  • 上下黒のスーツを着用し、ネクタイ、靴、バッグなどの小物もすべて黒で統一する
  • ワイシャツのみ、白色のものを着用する
  • 結婚指輪と腕時計以外の装飾品は身に着けない

女性の場合

  • 黒いワンピース、またはツーピースタイプの喪服を着用する
  • ストッキング、タイツ、靴、バッグなどの小物もすべて黒で統一する
  • 結婚指輪と腕時計、真珠以外の装飾品は身に着けない

仏教用語を使わない

「冥福」「供養」「成仏」など、普段葬儀の受付や挨拶で口にしがちなこれらの言葉は、仏教の考え方に基づくものであるため、神葬祭では使用してはいけません。

「ご冥福をお祈りいたします」と言いたいときは、神道の考え方にのっとり「御霊(みたま)のご平安をお祈りいたします」などと言い換えましょう。

不祝儀袋の選び方や表書き

「冥福」などの仏教用語と同様、不祝儀袋に書かれた「御仏前」「御供物料」「御香典」などの表書きも、仏教の考え方に則った表現になります。

神葬祭に参列するときは、以下のような表書き・デザインの不祝儀袋を選ぶようにしてください。

不祝儀袋のデザイン

  • 水引は黒白、または双銀のものを選ぶ
  • 蓮の花のイラストなどは、入っていないものを選ぶ

表書きの書き方

  • 水引の上に「御霊前」「玉串料」「御榊料」などと記入する

神葬祭の全体の流れ

神葬祭に参列するときのマナーについて、理解できましたか?

ここからは、マナーとあわせて知っておきたい神葬祭全体の流れについて、ご説明していきます。

臨終

人が亡くなることを臨終と言います。臨終が確認されたら、葬儀会社や故人が氏子(仏教で言う檀家)となっていた神社などへ連絡し、今後の予定を相談します。

枕直しの儀

故人に白い小袖を着せて、北枕になるように安置します。

また、枕元に仏教でいう枕飾りにあたる白木の八足祭壇(案)を置いて、この上に米、酒、水を入れた容器や、故人が生前好きだった食べ物などをお供えします。

帰幽奉告の儀

仏教でいうところの仏壇にあたり、先祖の霊や神様が祀られている神棚や祖霊舎(それいしゃ)に対し、帰幽奉告(きゆうほうこく)の儀を行います。

この儀式では、先祖と神様に故人の死を報告するとともに、遺体の穢れが神聖な場所に及ばないよう神棚や祖霊舎の扉を閉じ、白い紙を貼ります。

このように、神棚や祖霊舎を穢れから守るために閉じることを「神棚封じ」とも呼びます。

葬儀の準備

ここまで終わったら、葬儀会社と喪主、遺族を交えて、神葬祭にかける予算や会場の規模などについて話し合い、決定します。

納棺の儀

神葬祭が始まる前日まで、遺体を葬儀会場に移すまでの時間を使って、遺体を棺に納め、白い布で覆ってから拝礼する納棺の儀を済ませます。

ちなみに、納棺までに仏教で言う枕経のような、神職によるお祈りは行いません。

通夜祭と遷霊祭

通夜祭は仏式で言う通夜式にあたるもので、神職は仏式のお経にあたる「祭祀」を奏上し、参列者は焼香の代わりに玉串拝礼(玉串奉奠)を行って、故人の平安を祈ります。

続いて遷霊祭(せんれいさい)という、故人の魂を仏教で言う位牌にあたる霊璽(れいじ)に移す儀式を行います。

霊璽への遷霊の作法は独特で、一旦部屋を暗くしてから、神職の手で故人の魂が霊璽へと移されます。

なお、地域によっては通夜祭と遷霊祭をまとめて「通夜祭」とする場合もあります。

玉串拝礼とは?

仏式で言う焼香の代わりに、故人と神様に玉串(榊の枝に木綿や紙をつけたもの)をささげることを、「玉串拝礼」「玉串奉奠」と言います。

玉串拝礼の作法はキリスト教式葬儀の献花に近く、以下のような方法で行うのが一般的です。

  1. 根本が自分の方を向くように玉串を両手で受け取り、遺族に一礼する
  2. 玉串を身体の正面に立てるように持ち、祭壇の前まで進み出る
  3. 根本が祭壇を向くように時計回りに1回転させてから、祭壇に玉串を置く
  4. 玉串を置いたら祭壇に向かって二礼し、音を立てずしのび手で二拍手、一礼する
  5. そのまま後ろ向きに数歩下がり、遺族に一礼して自席に戻る

葬場祭(告別式)

通夜祭・遷霊祭の翌日に行い、仏式で言う告別式にあたるものです。

内容や式典の流れは仏式のものに近く、弔辞や弔電の奉読の後、通夜祭と同様に祭祀を奏上し、参列者による玉串拝礼も行われます。

火葬祭

葬場祭の後、火葬場に到着したら、火葬の前に再び神職による祭祀の奏上と、参列者による玉串拝礼を行います。

帰家祭

無事に神葬祭のすべての工程を済ませ、自宅に帰ったら、塩や手水で身体を清めてから、神棚や祖霊舎に対して無事に神葬祭が済んだことをご報告します。

さらにこの後、神職やお世話になった人たちを招いて直会(なおらい)という宴を開きます。

埋葬祭

神職立ち合いのもと、遺骨を墓所へ埋葬する儀式です。

地域や神職の考え方によって、火葬・骨上げ後にそのまま行う場合もあれば、仏式の四十九日法要にあたる五十日祭にあわせて行われることもあります。

近年では、火葬当日中の埋葬祭は省略し、亡くなってから50日後の五十日祭にあわせて、墓所に納骨するケースが多いようです。

神葬祭の費用相場

神葬祭では、仏式の葬儀において高額になりがちな戒名料などはかかりませんが、玉串や神饌物を用意する費用がかかるため、結果的に仏式よりも割高になることがあります。

一般財団法人日本消費者協会が2017年に行ったアンケート調査によると、宗派を問わず一般的な葬儀の全国平均の費用は121万円だったそうです。

神葬祭にかかる費用相場は、会場の規模や地域の慣習などによっても変わってきますが、目安としては、全国平均の121万円より少し高めと考えておけば良いでしょう。

まとめ:神葬祭の4つのマナーと全体の流れ

一般的に、仏式に比べると参列の機会が少ない神道のお葬式「神葬祭」ですが、お世話になった故人とその家族のためにも、参列するなら失礼のないようにしたいですよね。

ご紹介したように、神葬祭の流れやマナー・作法は、仏式の葬儀とはかなり異なります。

この違いは仏式と神道の宗教観・故人への考え方の違いによるものですが、どちらも故人やその魂、遺族を労り、想う気持ちに違いはないでしょう。

この記事から神葬祭についてよく理解して、いざ参列の機会があったときには、神道を信仰する故人・遺族への弔いの気持ちが伝わる振る舞いをしてくださいね。

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