いざ相続する立場になったとき、何から着手すればよいか分からないですよね。この記事では、身内が亡くなった際の相続手続きの流れと、手続き期限・届出先について解説していきます。スムーズな相続手続きを行うために、ポイントを押さえておきましょう。
身内が亡くなった際の相続手続の流れ
身内が亡くなった際にしなければならない財産の相続手続きにはさまざまなものがあり、期限が決まっている手続きと、期限は決まっていないけれど必ずやらなければならない手続きがあります。財産の相続における手続きの流れを確認していきましょう。
財産を相続する手続きの流れ
- 死亡届の提出7日以内に死亡届を市町村役場へ提出します。
- 遺言書の確認
遺言書が残されているかどうかを確認します。
遺産分割協議が終了した後に遺言書が見つかったとなると、すでにまとまった協議をやり直したりしなければならなくなってしまうので、遺言書の有無だけは絶対に確認しましょう。 - ①遺言書が残されているかどうかを確認します。
遺産分割協議が終了した後に遺言書が見つかったとなると、すでにまとまった協議をやり直したりしなければならなくなってしまうので、遺言書の有無だけは絶対に確認しましょう。
②(遺言書がある場合)家庭裁判所で開封→公正証書遺言以外は検認→遺言書執行者の選任→遺贈の放棄→遺留分の請求
自筆の遺言書が見つかった場合は、遺言書を家庭裁判所へ提出して「検認」を請求しなければなりません。検認とは、相続人に対し遺言の存在と内容を知らせ、遺言の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続きです。遺言書は家庭裁判所で開封するまで開けてはなりません。生前に公正証書で遺言を作成していた場合は、検認は必要ありません。
遺言書の内容を確認した上で遺言書執行者の選任を行い、遺言書の通りに相続するか、相続を放棄するかを決めます。また、遺留分減殺請求の対象者は、遺留分を請求することも考えます。 - 相続財産の全容を把握
遺言書の確認が終了し、相続人が確定したら、相続財産がどれだけあるかを確認します。現金だけではなく、不動産や債権なども相続財産として把握しておきましょう。 - 相続放棄・限定承認
相続はいいことばかりではありません。負の財産を背負わないために、相続放棄や限定承認の制度があります。3ヶ月以内に家庭裁判所へ申請すれば、相続放棄・限定承認をすることができます。ただし、限定承認の場合は相続人全員の意思で申告しなければならないので注意が必要です。 - 準確定申告
故人に所得があった場合、4ヶ月以内に税務署へ準確定申告をします。準確定申告
に遅れると、納税額に対して延滞税と無申告加算税がかけられてしまうので、期限
をしっかり守りましょう。 - 遺産分割協議書の作成
遺産分割協議書は、相続人が話し合って決めた財産分割の方法をまとめた書類です。遺産分割協議が完了していることを周囲に証明する重要な書類で、相続人同士の契約書の役割もあります。遺産分割協議書は、相続人全員の署名押印が必要になります。
ひとりでも欠けていたら無効になるので注意が必要です。遺産分割協議書はできるだけ速やかに作成しましょう。 - 財産の分割・名義変更などの手続き
遺産分割協議によって財産分割が確定したら、相続人で財産を分割します。
預金などの財産を相続した相続人は、各金融機関に問い合わせて預金等の名義変更手続きを行います。
また、不動産を相続した場合は法務局に申請して、不動産の名義変更である相続登記を行います。 - 相続税の申告
基礎控除以上の財産を相続した相続人は、10ヶ月以内に亡くなった人の住所地の税務署へ相続税の申告と納税を行います。相続額が基礎控除以下の金額であれば、相続税の申告義務はありません。相続税の支払いが遅れると納税額に対して延滞税と無申告加算税がかけられてしまうので、期限をしっかり守りましょう。 - 遺留分減殺請求
兄弟姉妹を除く法定相続人に、遺言書でなにかしらの指示があり、法定相続額分の相続額をもらえなかった場合、1年以内にほかの相続人に対して遺留分減殺請求することで、不足している相続額を取り戻すことができます。
7日以内にすべき手続き・届出と手続き先・届出先
7日以内にすべき手続き・届出として、「死亡届」の提出と「死体火葬許可申請書」の取得があります。
死亡届
故人が亡くなってから最初に行う手続きは、「死亡届」の提出です。死亡届は戸籍法86条で届出が義務付けられていて、死亡届を提出することによって死体火葬許可証が交付され、故人の葬儀などを行うことができるようになります。
死亡届の書式は全国一律で、市町村役場の窓口で取得できます。死亡届には、医師に死亡診断書の部分を記入してもらわなければなりません。病院等で亡くなった場合はそのまま医師に死亡診断書を記入してもらい、自宅等で亡くなった場合はかかりつけの医師や警察に連絡して、ご遺体の検案をしてもらうことになります。
死亡届は、基本的に親族であれば誰が提出しても構いません。親族のほかに、故人の同居人、家主、後見人なども死亡届を提出することができます。提出に手数料などはかかりません。
死亡届を提出するときは、
- 故人の本籍地の市町村役場の戸籍係
- 届出人の現住所の市町村役場の戸籍係
- 亡くなった場所の市町村役場の戸籍係
のいずれかの市町村に提出します。
役場に提出した死亡届は返却されませんので、死亡診断書の部分についてはコピーをとるか、予備を作成してもらうなど手元に残しておくと、生命保険金の受け取りなど他の手続きの際に役に立つでしょう。
死体火葬許可証
死亡届が受理されると、死体火葬許可証が取得できます。自治体によって異なりますが、基本的には死体火葬許可証が交付される際に市営・町営などの火葬場の予約案内をしてもらえるようです。
火葬は原則として死亡確認から24時間が経過しないと行うことができないので、まずはすみやかに死亡届を提出し、火葬の日程を押さえましょう。
この「死体火葬許可証」を火葬場へ提出することで、火葬してもらえます。火葬が終了すると、「死体火葬許可証」は証明印を押され、「死体埋葬許可証」となります。
日本ではご遺体を火葬せずそのまま埋葬することはできないので、必ずこの手順を踏むことになります。
14日以内にすべき手続き・届出と手続き先・届出先
14日以内にしなければならない手続きとして、「世帯主変更届」の手続き、国民健康保険証の返却と「国民保険資格喪失届」の手続き、「会社役員変更登記」の手続きが挙げられます。
世帯主変更届
故人が世帯主だった場合、世帯主変更届が必要かどうか確認し、必要に応じて手続きをしましょう。
世帯主変更とは、住民票に記載されている現在の世帯主から、世帯員の誰かに世帯主を変更する手続きです。世帯主が亡くなった場合や、転出などで居なくなった場合に必要となります。
次の世帯主となる人が明確な場合は、世帯主変更の手続きは必要ありません。また、故人が世帯主ではない場合も手続きは要りません。次の①~③を見て、届出が必要かどうか確認してみましょう。
- 世帯主が亡くなった際、残された世帯員が2人以上いる場合・・・手続きが必要
- 残された世帯員が一人の場合・・・手続き不要
- 残された世帯員が15歳未満の子供とその親権者の場合・・・手続き不要
国民健康保険証、後期高齢者医療費保険者証、介護保険証の返却
世帯主変更届の手続きと併せて、各保険証の手続きも必要かもしれません。
例えば健康保険に加入していた被保険者である世帯主が死亡した場合、配偶者・家族の健康保険証は死亡した翌日より使用できなくなってしまいます。世帯主の変更とともに健康保険の資格喪失手続きを行い、新しい世帯主で新しい健康保険証を発行しましょう。
国民健康保険、後期高齢者医療保険・介護保険の資格喪失届について、14日以内に保険証を返還しなければいけません。手続きに必要なのは「国民健康保険資格喪失届」という書類で、市町村役場でもらえます。世帯主が亡くなった場合は、世帯員全員分の「健康費保険証」も必要です。手続きは、市町村役場の国民健康保険担当窓口ですることができます。
会社役員変更登記
故人が生前会社役員だった場合、亡くなったことで会社の登記事項に変更が生じます。この変更について、2週間以内に変更登記を申請しなければなりません。変更登記の期限は会社法第915条で定められており、2週間の期限を破って登記申請をすると、代表者個人に対して100万円以下の過料の制裁を受ける可能性がありますので、必ず登記変更をしておきましょう。手続きは法務局ですることができ、変更登記には登録免許税がかかります。
年金給付停止
国民年金を受給して生活していた人が亡くなった場合、受給していた年金の停止手続きを行わなければなりません。手続きは市町村役場や年金事務所で行うことができ、年金証書、除籍謄本などを準備していきましょう。
また、未支給の年金があればあわせて請求手続きを行います。未支給年金を受け取ることができる遺族は、年金を受けていた人と生計を同じくしていた、以下の人です。
- 配偶者
- 子供
- 父母
- 孫
- 祖父母
- 兄弟姉妹
- その他(①~⑥以外の3親等内の親族で受け取れる順位もこの通り)
1ヶ月以内にすべき手続き・届出と手続き先・届出先
1ヶ月以内にすべき手続き・届出として、「個人事業の廃業届」があります。個人で事業をしていた方が亡くなった場合は、廃業するにせよ、誰かが相続して承継するにせよ、手続きが必要です。
個人事業の廃業届
故人が個人事業主として開業していた場合、亡くなって1ヶ月以内に故人の住所地の税務署へ「個人事業の廃業届出書」を提出しなければなりません。また、故人の事業を承継する相続人がいるならば、相続人の住所地の税務署へ「個人事業の開業届出書」を提出する必要があります。
3ヶ月以内にすべき手続き・届出と手続き先・届出先
相続開始から3ヶ月以内にしなければならない手続きで最も重要なのは、「相続するかどうかを決める」ことです。相続する財産にはプラスのものだけではなく、マイナスの財産(債権)も含まれます。相続には「故人のマイナスの財産を背負わなくてもよい制度」があり、限定承認と相続放棄という2つの方法があります。
また、事業をしていた人が亡くなった場合は営業免許等許認可の変更届も必要になります。
相続放棄、限定承認の申し立て
限定承認とは、相続する財産のうち、負債や遺贈を清算してもなお余る財産があれば、それを相続するということです。すべてを清算してもプラスの財産が残っていれば、相続人は相続することができます。
限定承認をするためには、3ヶ月以内に故人の住所地にある家庭裁判所に対して限定承認の申告をしなければなりません。申告しないと、単純にすべての財産を無条件に相続する「単純承認」だとみなされてしまいます。
ただし、相続人の全員が限定承認について共同で申告しなければなりません。相続人のうち一人でも「限定承認はいやだ」という方がいれば、他の相続人も限定承認ができなくなるので注意が必要です。
相続放棄とは、プラスの財産もマイナスの財産も一切相続しないという方法です。プラスの財産よりもマイナスの財産のほうがはるかに多く、マイナスの財産を返済することができないと明らかに分かっている場合は、相続放棄をしたほうがいいでしょう。
この場合も、3ヶ月以内に故人の住所地にある家庭裁判所に対して相続放棄の申告をしなければなりません。申し出がないと認めてもらえないので、注意が必要です。
また、相続放棄の場合は相続人が個人で相続するかしないかを決めることができます。何人もいる相続人のうち、一人だけが相続放棄をすることも可能です。
限定承認、相続放棄をするのであれば3ヶ月以内に申告しなければなりませんが、どうしても決められなかったり、相続人での話し合いがまとまらないなどの理由があれば、家庭裁判所に「相続の承認又は放棄の期間の伸長の申し立て」をして、期限を延長することができます。
営業許可、許認可の変更届
営業許可や許認可を受けて事業をしていた人が亡くなり、相続人が事業を承継する場合には、営業許可・許認可の相続手続きをしなければいけません。3ヶ月以内に、許認可を管轄している官庁に「地位承継届」を提出する必要があります。
以下の事業をしていた人が亡くなった場合は、承継の届出が必要です。
- 飲食店営業
- 喫茶店営業
- 魚介類販売業
- 菓子製造業 など
地位承継には、以下の書類が必要となります。
- 地位承継届出書
- 相続関係を示す戸籍一式
- それまで使用していた営業許可証
- 複数の相続人がいる場合は、営業者承継同意証明書
4ヶ月以内にすべき手続き・届出と手続き先・届出先
4ヶ月以内にすべき手続き・届出として、所得税の準確定申告があります。
所得税の準確定申告
4ヶ月以内にしなければならない手続きは、故人の所得税の確定申告です。通常の確定申告は、毎年2月15日~3月15日の間に行うこととされていますが、亡くなった人の場合には、亡くなった日から4ヶ月以内に申告しなければなりません。故人の確定申告のことを、「準確定申告」といいます。
なお、以下の条件に該当する方は確定申告をしなくてもよいとされています。
- 年金の収入が400万円以下
- その他の所得が20万円以下
準確定申告は、故人の住所地の税務署で行います。相続人が複数いる場合は連名で準確定申告書を提出し、準確定申告の結果納税額が生じた場合、納税の期限は申告の期限と同じ日になるので、早めに準確定申告の手続きをしておく必要があります。
準確定申告の提出が遅れた場合は、納税額に対して延滞税と無申告加算税がかけられてしまうので、期限をしっかり守りましょう。
障害がある場合、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを障害者控除といい、準確定申告にも適用されます。障害者控除の対象となる故人について、準確定申告を行う前に、まずは障害者控除対象者認定の手続きをして、準確定申告で控除を受けられるように準備しましょう。障害者控除対象者認定の手続きは、市町村役場で行えます。
10ヶ月以内にすべき手続き・届出と手続き先・届出先
10ヶ月以内にすべき手続き・届出として、相続税の申告と納税があります。
相続税の申告
10ヶ月以内に、相続税の申告と納税をしなければなりません。
相続税とは、一定以上の財産を残した人にだけかかる税金で、相続税が控除される場合は支払う必要はありません。この期限までに、どれほどの金額を相続するのか、その金額は控除されるのかを見極めておく必要があります。
財産総額が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」の金額を越えた場合は、相続人は相続税を納める必要があります。申告と納税は、故人の住所地の税務署で行います。
相続税の申告には、以下の書類が必要となります。
- 相続税の確定申告書
- 故人の出生から死亡までの戸籍謄本
- 遺言書がある場合、遺言書の写し
- 遺産分割協議をした場合、遺産分割協議書の写しと遺産分割協議書に押印した相続人全員の印鑑証明書
相続税の申告が遅れた場合は、準確定申告時と同じように納税額に対して延滞税と無申告加算税がかけられます。期限内に申告と納税ができるように準備を整えましょう。
また、相続する財産のなかに不動産が含まれている場合は、相続登記の申請にも注意が必要です。
相続登記とは不動産を相続した際に必要な名義変更のことで、必ずしも10ヶ月以内に行わなければいけないわけではありませんが、不動産の財産額がかなり高額になると相続税の申告にも関わってきます。相続税の申告を10ヶ月以内に行わなければならない以上、相続登記も必然的に10ヶ月以内に行う必要があるのです。
1年以内にすべき手続き・届出と手続き先・届出先
1年以内にすべき手続き・届出として、遺留分減殺請求の手続きがあります。
遺留分減殺請求(侵害を知って1年以内)
兄弟姉妹を除く法定相続人には、遺言書が無ければもらえるはずだった、最低限の法定相続分の相続額を請求できる権利(遺留分減殺請求)があります。もしも遺言書でなにかしらの指示があり、法定相続額分の相続額にならなかった場合には、「相続により遺留分が害されていることを知ってから1年」または「相続開始から10年間」の間なら不足している相続額をほかの相続人に対して遺留分減殺請求をすることが可能です。
遺留分の減殺請求は、裁判所などに届け出るのではなく、まずは当事者同士で話し合います。もしも話し合いがまとまらなければ、家庭裁判所に調停を申し立てて話し合いを進めていくことになります。
2年以内にすべき手続き・届出と手続き先・届出先
2年以内にすべき手続き・届出について、葬儀費、埋葬費の支給申請、死亡一時金の支給があります。
葬儀費、埋葬料の支給申請
健康保険に加入していた人が亡くなった場合、埋葬を行った同一家計の家族に葬儀費、埋葬料として定められた金額が支給されます。故人が何に加入していたかによって請求する先が変わります。
- 故人が共済組合に加入していた場合…埋葬料を各共済組合に請求
- 故人が国民健康保険に加入していた場合…葬祭費を市町村役場に請求
- 故人が組合健康保険・協会けんぽに加入していた場合…埋葬料、家族埋葬料の請求を年金事務所、健康保険組合へ請求
死亡一時金
死亡一時金とは、国民年金の加入者で保険料を3年以上納めた人が、老齢基礎年金・障害基礎年金の両方とももらわずに亡くなったときに、生計をともにしていた遺族へ支払われるお金です。2年以内に手続きをすればもらえますが、遺族が遺族基礎年金または寡婦年金の受給資格がある場合には死亡一時金はもらうことができないので、ご注意ください。
3年以内にすべき手続き・届出と手続き先・届出先
3年以内にすべき手続き・届出として、生命保険金の受け取り、入院給付金の請求があり
ます。
生命保険
生命保険に加入していた場合、亡くなった日の翌日から3年以内に各保険会社に請求をすることで死亡保険金を受け取ることができます。この時必要な書類は以下の通りです。
- 保険会社所定の書類
- 保険証券
- 死亡診断書
- 被保険者の死亡記載のある住民票
- 請求する人の本人確認書類
また、3年以内に保険金の受け取りの手続き申請を行わなければ時効によって消滅してしまうので、注意が必要です。死亡により自動的に生命保険が振り込まれるわけではありません。
故人が生命保険に加入していたことを知らずに保険金の請求がされないケースが多いそうです。郵便物等をチェックして、保険会社に加入状況を確認したほうがいいでしょう。
入院給付金の請求
医療保険に加入している場合、死亡時に受け取る死亡保険金のほかに、入院時や通院時にもらえる「入院給付金」や「通院給付金」があります。これらを申請し受け取る手続きをする前に亡くなってしまった場合、死亡後でも申請すれば受け取ることができます。これらの給付金の受け取りも、3年以内に保険会社に請求しましょう。
「入院給付金」や「通院給付金」は、受取人を誰にしているかで相続税が課税されるかどうかが変わってきます。
受取人を被相続人にしていた場合は、本来であれば故人が受け取るはずだったお金です。なので、入院給付金、通院給付金は「被相続人の本来の相続財産」として扱われ、相続する際には相続税がかかります。
一方、受取人を配偶者など本人以外にしている場合は、受取人の財産になるため、相続税の課税対象にはなりません。
現在自分や家族はなんの保険に加入しているのか、その受取人は誰なのか、相続税は課税されるのか、普段から確認しておくとよいでしょう。
5年以内にすべき手続き・届出と手続き先・届出先
5年以内にすべき手続き・届出として、「遺族基礎年金の請求」「遺族厚生年金の請求」
「遺族共済年金の請求」「葬祭料、遺族補償年金の請求」「寡婦年金」があります。
遺族基礎年金の請求
遺族基礎年金は、国民年金に加入している人が亡くなった場合、その故人によって生計を維持されていた「子供のいる妻」または「子供」に支給される年金です。故人の保険料納付済みの期間が、加入機関の3分の2以上であることが受給の条件となっています。
ちなみにここで指す「子供」とは、18歳になった年度の末日までを指します。受け取るためには戸籍謄本や死亡診断書などを準備して、市町村や年金事務所へ手続きに行きましょう。
遺族厚生年金の請求
遺族厚生年金は、遺族基礎年金に比べて受給できる対象者の範囲が広いのが特徴です。
故人によって生計を維持されていた「子供のいる妻」、「子供」のほか、以下の対象者も遺族厚生年金の受給者に該当します。
- 18歳未満の子のない妻
- 55歳以上の夫
- 父母
- 祖父母
- 18歳未満の孫
- 20歳未満で1、2級の障害者
遺族厚生年金は、以下の条件等で受給することができます。
- 厚生年金加入者が在職中に亡くなったとき。
- 勤務先を辞めるなどして厚生年金をやめた後に、厚生年金加入中に初診日がある怪我や病気が原因で、初診日から5年以内に亡くなったとき。
- 老齢厚生年金の資格期間を満たした人が亡くなったとき。
- 1級、2級の障害厚生年金を受けられる人が亡くなったとき。
遺族共済年金の請求
共済組合の組合員または組合員であった人が亡くなった場合に遺族に支給されるのが、遺族共済年金です。
共済年金とは、国家公務員、地方公務員、学校職員など主に公務員が加入する公的年金でした。しかし2015年10月からは共済年金が廃止され、現在は厚生年金に一本化されています。したがって今から新しく共済年金に加入する人はいませんが、遺族共済年金の給付は今でも続いています。
共済年金を支払っていた可能性のある公務員のご家族は、遺族共済年金の受給についても確認したほうがよいでしょう。
葬祭料・遺族補償年金の請求
業務上の事故により労働者が亡くなった場合は、遺族に対して遺族補償年金、葬祭料が受給されます。受給されるためには、遺族補償年金支給請求書、葬祭料請求書を作成し、労働基準監督署の労災課に提出します。
遺族補償年金は、亡くなった日の翌日から5年以内、葬祭料は、亡くなった日の翌日から2年以内に請求しなければ時効になってしまうので注意しましょう。
寡婦年金
寡婦年金は、国民年金を25年以上納め、老齢年金や障害年金などを受給したことがないまま夫が亡くなった場合、要件を満たせば妻に対して年金が支給されるものです。
寡婦年金を受給する妻側の要件としては、以下の通りです。
- 夫婦の婚姻期間が10年以上であること。
- 夫が亡くなった際、夫によって生計を維持されていたこと。
- 夫が亡くなった当時、65歳未満であること。
- 遺族基礎年金を受け取る権利がないこと。
国民年金 寡婦年金の年金請求書を記入して、住所地の市町村役場、年金事務所、年金相談センターなどに提出し、手続きをすることができます。
まとめ:期限がある手続き、届出には要注意
相続手続きにおける全体的な流れと、期限がある手続きや届出、期限はないけれど必ずしなければならない手続きや届出について紹介しました。
期限がある手続きはおよそ5年にわたってあり、申請先もバラバラです。どのタイミングまでに何をしなければならないのか、きちんと把握して手続きを進めていきましょう。
また、相続手続きにおいて、相続人の確定、財産の洗い出し、遺産分割協議書の作成の3つが進まないと進めることができない手続きも多々あります。この3点には早めに取り掛かり、スムーズに相続の作業を進めていきましょう。
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