一般葬だけでなく家族葬や一日葬など、様々な葬儀の形が採られるようになった現代では、故人やご遺族の想いを最大限に尊重した葬儀を執り行うことができます。数多くある葬儀の種類から、創価学会が行う葬儀、「友人葬」を選ぶ人も最近では増えてきました。規模は大きくない葬儀ですが、家族葬や他の葬儀と友人葬では何が違うのでしょうか。友人葬の流れやマナー、注意点や葬儀にかかる費用などをこの記事では網羅的にご紹介していきます。
友人葬の特徴
創価学会の葬儀である友人葬が行われるようになったのは1991年ごろのことです。創価学会が執り行う葬儀ではありますが、創価学会員でない方も参列することができます。葬儀は故人のご家族や親類縁者、仲のいい友人・知人などを集めて行われます。友人葬独自の特徴や注意点などはありますが、最も一般的な葬儀である仏式葬儀と大きく異なる点はなく、比較的葬儀の流れがわかりやすい傾向にあります。
友人葬の特徴として以下の4点が挙げられます。
1.祭壇には「しきみ祭壇」と「白い生花祭壇」を用いる
友人葬が他の葬儀と異なる点は、祭壇です。友人葬では基本的に上記の祭壇を使用しますが、一般的なのは白木祭壇といわれる、白木で組まれた祭壇が使用されます。しきみや白い花に限らず、祭壇や遺影は故人が好きだった花や色花を使用しても問題ありません。
2.僧侶を呼ばない
友人葬では僧侶ではなく、導師が中心となって葬儀を執り行います。創価学会には冠婚葬祭の儀式を担当する儀典部(ぎてんぶ)というのが存在しており、主にその幹部の方が導師を務めることになります。導師(儀典長)は僧侶の代わりに進行や読経などを行います。
3.お布施が必要ない
僧侶を呼ばないためお布施を必要としないのも友人葬の特徴です。また、友人葬では儀礼的な香典を必要としないため、葬儀にかかる費用を比較的安く抑えることができます。僧侶の代わりに進行役となる導師に対する謝礼なども一切発生しません。
4.戒名がない
友人葬では故人に戒名を授けないので、当然戒名料がかかりません。生前の名前をそのまま使用し、お見送りすることになります。創価学会では葬儀と故人の成仏を結びつけるのではなく、成仏は故人が生前に信仰していた宗教によるものだという考えから、僧侶を呼ばない葬儀形式を採っています。
友人葬の流れ
ここでは友人葬の流れについてご説明していきます。通夜式を行ったり告別式を行ったりという葬儀の流れは仏式葬儀と同様ですが、前述したように進行や読経などを行うのは僧侶ではなく導師となります。友人葬では故人を送る「まごころ」を重要視しており、僧侶を呼ばないことや、お布施や香典がないことなどがその現れとなっています。
葬儀の流れやマナーなどは地域によって異なる場合があります。実際に友人葬を行うときは、事前に葬儀の流れやマナーなどを確認するようにしましょう。
開式の辞
開式の辞では司会者が友人葬の開始を案内します。
読経・唱題
読経と唱題は導師を中心に行われます。読経では、
- 法華経の方便品
- 寿量品の自我偈
上記を読誦します。方便品とは、法華経の経文の一つで、悟りを極めるためには努力が必要であることを説いたものです。寿量品とは、同じく法華経の経文の一つで、釈迦が永遠に存在する仏であることを説いたものです。自我偈というのは、創価学会の経文で、会員は朝夕にこの自我偈を唱えます。自我偈は2回読誦します。
唱題では南無妙法蓮華経の題目を唱えます。
焼香
読経の際には自我偈が2回読まれます。一回目の自我偈が始まると同時に焼香を行うのが一般的です。焼香の順番は、導師から始まり、次に副導師、親族、参列者という順になります。係の方が順に案内をしてくれるので、それに従って行ってください。
御祈念文・題目三唱
焼香が終わると、導師が唱題終了を知らせる合図として鈴を打ちます。次に導師が追善供養の祈念をします。追善供養とは生きている人が故人に対して冥福をお祈りし、供養する儀式のことです。祈念後は導師が鳴らす鈴の合図に合わせて、会葬者全員で題目を三唱します。故人のことを想いながら真心を込めて行いましょう。
弔慰文・弔電
弔慰文、弔電をご紹介します。弔慰文は、次にご説明する導師の挨拶の際にまとめて行われる場合もあります。
導師挨拶
導師から挨拶が行われます。
謝辞
喪主、または親族代表者が会葬者の方々に感謝の気持ちを伝える謝辞を述べます。
題目三唱
祈念後と同様、再び題目三唱を行います。導師が鈴で合図するので、それに合わせて参列者全員で題目を三唱します。
閉式の辞
閉式の辞では司会者が友人葬の終了を案内します。葬儀終了後は、葬儀や告別式についての諸連絡、注意事項があります。
お別れ・出棺
葬儀や告別式が終了したら、お別れの儀式に次いで出棺となります。お別れの儀式では唱題する中、導師や遺族、会葬者でしきみなどを棺に納めていきます。お別れが済むと、男性の近親者数人が棺を霊柩車に運び入れます。出棺の際には喪主から挨拶が行われます。挨拶が終わると出棺となります。
友人葬のマナー・作法
ここでは友人葬のマナーや礼儀作法をご説明していきます。友人葬のマナーや作法は一般的な葬儀とほとんど同じです。服装や数珠なども特に決まりがあるわけではなく、焼香の作法も一般的な方法を取ります。ただし香典を必要としないこと、創価学会独自の数珠があることなど、独自のマナーや作法を知っておくことも大切です。マナーや作法を知った上で、葬儀の際にはどのようにするか事前に決めておくといいでしょう。
焼香作法
焼香の作法は一般的な葬儀と同様です。焼香が行われるのは自我偈の読誦中です。自我偈は2回読誦されるので、通常は1回目の読誦中に行います。係の方の案内に従って順に行います。焼香の回数は3回、額までしっかりおしいただきます。焼香の前後にはご遺族へ一礼するのを忘れないようにしてください。
数珠のマナー
各宗教や宗派によって葬儀に用いる数珠の形が決まっているものがあります。しかし友人葬では、必ずしも決まった数珠を使わなければいけないというルールはありません。創価学会が使用する独自の数珠は存在しますが、故人を弔う気持ちがあれば数珠に何を使用するのも自由です。創価学会の数珠は両手にかけられるよう長めに作られています。会員の方は特有の数珠を使用しているので、それが気になる方は友人葬に数珠を持っていかないという選択肢もあります。他人と違う数珠を使うことに抵抗などがなければ、自分が持っている数珠を持参しましょう。
服装のマナー
友人葬では服装の決まりは特にありません。通夜や葬儀に通常の喪服で参列する方が多く、男性であれば黒のフォーマルスーツにネクタイ、靴下、靴を着用します。女性も同様に黒のフォーマルスーツで良いでしょう。スカートやワンピースであれば黒のストッキングを着用してください。
一般的な葬儀と同じように小物も黒で統一します。また、通夜、葬儀・告別式ともに同じ服装であっても問題ありません。
供花は「しきみ」をお供えする
友人葬では基本的に供花に「しきみ」や白い生花を使用します。こちらも特に決まりがあるわけではないので、葬儀によっては色花や故人が好きだった花を使用して祭壇や遺影を飾ることもあります。創価学会会員以外の方は、お花を送る前にご遺族に確認を取るようにしましょう。
友人葬の注意点
葬儀のマナーはその形式や宗派によって異なります。マナーやルールを知らないまま葬儀に参加するのは、故人にとって失礼に当たります。故人への想いを重視する友人葬の注意点をしっかり覚えておきましょう。
香典が不要
友人葬以外の葬儀では、葬儀に参列する方から香典をいただくのが一般的です。しかし友人葬では香典を必ずしも必要とはしません。創価学会の方針では、儀礼的な香典を持参する必要はないとしており、葬儀によっては香典をお断りする場合もあります。故人の冥福を祈る「まごころ」を大切にする友人葬では、会葬者一人ひとりの想いがとても重要になります。そのため、弔意を表すために香典などを用いることがありません。
香典を必要とするかしないかは、ご遺族の意向や葬儀が行われる地域によって異なる場合があるので、参列する方は念のため香典を持参することをお勧めします。香典の表書きや使用するのし袋などは、一般的な葬儀と同様で構いません。しかし香典を扱う際には、その葬儀の方針に沿った扱い方をするようにしましょう。
お布施・戒名が不要
香典だけでなく、お布施や戒名料が不要であるのも友人葬の大きな特徴です。前述したように友人葬では僧侶を呼ばずに導師が中心となって葬儀の進行や読経などを行うため、お布施が必要ありません。導子に対して謝礼などを支払う必要もなく、その点に関しては一般的な葬儀よりも費用を抑えることができると言えます。
しかし香典を受け取らない場合には、葬儀にかかる費用をほとんど負担しなければいけないというデメリットもあります。友人葬では故人に戒名を授けないため、戒名料を負担する必要もなく、生前の名前を使用して葬儀が行われます。
友人葬が重要視する「まごころ」と、会葬者全員で唱える読経や題目三唱などが故人のための最高の追善であるという考えのもと、このような特徴が友人葬では見られます。
他にも、一般的な葬儀では避けられる日柄の「友引」をあまり気にすることがなかったり、創価学会員以外の方は読経する必要がなかったりなど、独自のマナーや注意点があるので、葬儀を執り行う方や参列する方はそれらを把握しておく必要があります。
一般的な葬儀の日程と友引の関連性については以下の記事で説明しています。
友人葬の費用
注意点の部分でもご説明しましたが、僧侶を呼ばない、戒名を必要としない友人葬では、その点にかかるお布施が必要ありません。その分、葬儀にかかる費用を安く抑えることができます。しかし葬儀の中で香典を受け取ることが少ないということは、当然香典収入はほぼないということに繋がります。葬儀にかかる費用はすべて実費となりますが、友人葬ではご遺族や親しい友人など、比較的少人数で行われる場合が多いので、そこまで多額の費用がかかることはないでしょう。
葬儀の規模や会葬者数、地域などによってかかる費用は異なりますが、およそ15万円程度から葬儀を行うことができます。葬儀にかかる費用の他に、創価学会の納骨堂へ納骨するための費用として20万円〜がかかります。
創価学会では会員専用のお墓も用意されています。購入費は大体50万円からとなっており、全国に点在する創価学会が所有する墓地の他、宗派を問わない墓地でもお墓を建てて納骨することが可能です。
香典の費用
既にご説明した通り、友人葬では香典の受け取りを辞退しているケースも多いので、基本的に香典費用はかかりません。念のために持参するという場合には、一般的な葬儀の際の香典費用の相場を目安にするといいでしょう。
故人との関係性が近い人ほど香典にかかる費用は高くなり、渡す方が若いほど金額が低くなる傾向にあります。香典の相場はその地域や故人との関係性によって大きく異なるので、事前に葬儀社や周りの人に相談することをお勧めします。
金額に関わらず友人葬では、故人を弔う気持ちを最も大切にしているため、故人の冥福を心からお祈りするという姿勢を葬儀では大事にするようにしましょう。
まとめ
友人葬では僧侶を呼ばないという大きな特徴がありますが、葬儀の流れ自体は一般的な葬儀とさほど変わりません。葬儀の司会進行役となる創価学会の導師が、僧侶の代わりに読経などを務めます。葬儀の流れの中には参列している会員全員で故人の冥福を祈って読経する場面があります。焼香は一般的な方法で行い、弔慰文や弔電も通常通りあればご紹介されます。
葬儀の流れやマナーなどは宗教や宗派によって異なりますが、友人葬では必ず決められたルールに従わなければいけないということはありません。そもそも特に決まりがあるわけではないので、数珠や服装は一般的な葬儀で使うようなものを使用して構いません。数珠には創価学会独自のものがありますが、会員以外の参列者の方は普段使用している数珠を持参するか、あるいは持参しないという選択をすることもできます。
供花は基本的に「しきみ」を使用します。白い生花でも構いませんが、場合によっては色花や故人が生前好んでいた花を用いることもあります。
友人葬では香典は基本的に不要です。故人を想う気持ちを重要視する友人葬だからこそ、形でそれを表現することに重きを置いていません。他にもお布施や戒名がないなどの特徴があります。
現代の葬儀の形は実に様々です。同じ友人葬でも、葬儀を行う地域やご遺族・関係者の意向によって細かな部分が変わることもあります。葬儀を行う場合も、葬儀に参列する場合も、その葬儀のやり方に沿って、故人に失礼のないよう準備することが大切です。
贈儀計画コラムでは、人生の儀式における皆さまの悩みをサポート致します。
葬儀・介護・相続・お墓・結婚などそれぞれの課題を、情勢に合わせ専門のサポートスタッフがいつでもご相談を承ります。まずはお気軽にご相談ください。
冠婚葬祭セリエンス(贈儀計画コラム運営企業)
電話番号:0120-34-5183 受付時間:9:00-17:00
インターネットでのお問い合わせは24時間承っております。