近年葬儀の簡素化が進む中、注目を集めている「直葬」という葬儀形式。直葬とはどのような形式で行われる葬儀なのか、一連の流れや費用、起こりうるトラブル、マナーなどについて、解説していきます。
直葬とは
直葬とは、通夜や告別式などの儀式を省き、親しい親族など数名で火葬のみを行う葬儀のことをいいます。別名「火葬式」とも呼ばれ、従来の葬儀よりも簡易的で、葬儀費用を大幅に抑えることができる葬儀形式です。直葬のように従来のお葬式の形式にこだわらないシンプルな葬儀のスタイルは、年々増えてきています。
直葬のメリット
直葬のメリットとして、以下の6つが挙げられます。
1.直葬の場合は葬儀の費用が安い
通夜、告別式を行わない直葬の費用は、家族葬や一般葬に比べて葬儀費用がとても安く、一般葬の約1/5の費用に抑えることができます。
2.葬儀の時間がかからない
一般的な葬儀の場合、通夜・告別式を日に分けて行うので3日ほどは必要になりま
すが、直葬の場合は火葬場に到着し火葬と納骨をすれば解散なので、半日ほどで葬儀が終了します。
3.参列者への対応が必要ない
弔問客がいらっしゃる通夜や告別式を行わないため、弔問客への対応も不要で、故人とゆっくり最期の時間を過ごすことができます。
4.香典返しが必要ない
直葬では香典は必要ないとされているため、香典辞退の告知や香典返しは必要ありません。
5.複雑な手続きがない
一般的な葬儀は日程の段取りや手順など、決めなければならないことがたくさんありますし、それをお知らせしなければいけません。一方直葬の場合は、弔問客がいらっしゃる通夜や告別式がないため手続きはそれほどなく、火葬・納骨の日程だけ決めればいいので手続きも簡単です。
6.宗教儀礼が必要ない
直葬は火葬を行うだけなので、僧侶の読経など宗教的な儀礼は行わない場合が多いです。僧侶へのお布施を払う必要もありません。
直葬の流れ
直葬は、臨終してから、お迎え・安置、納棺し、通夜や告別式などの儀式を省いて、出棺、火葬、収骨という流れで行われます。直葬におけるそれぞれの儀式について、詳しく説明していきます。
臨終
ご臨終を迎えたら、親族は葬儀社に連絡をし、安置場所を確保します。
病院で亡くなった場合は、医師に「死亡診断書」を発行してもらい、自宅で亡くなった場合は、警察により事件性がないかを確認する検視が行われます。
安置
葬儀社の搬送車でご遺体を安置できる場所まで搬送します。法律により、逝去後24時間は火葬することができないため、その間に安置します。安置する場所は、自宅や葬儀社の霊安室などです。霊安室を借りる場合は、施設の使用料が発生します。直葬の多くは、臨終の翌日に火葬となります。
葬儀社と火葬日程の話し合いをし、火葬場や僧侶の手配をします。
納棺
ご遺体を棺に納めることを納棺といいます。納棺は、出棺の直前か火葬前夜に行います。
故人を仏衣で身支度を整えて棺に納め、思い出の品や花なども納めます。
出棺
ご遺体の安置所から火葬場へ出発することを出棺といいます。直葬では安置所で簡単なお別れをしたあとに出棺となります。
火葬
火葬場に到着したら、火葬炉の前で僧侶にお経を読んでいただき、お別れをして火入れとなります。親族は火葬が終わるまで控え室で約1時間待機します。
収骨
火葬後に遺骨を骨壷に納めることを「骨上げ」と呼び、お骨を二人一組で箸を使って同時に挟み、骨壷に納めていきます。最初に喪主が納め、次に血縁の深い順に行い、足の方からのど仏を納めます。
収骨を済ませたら、直葬での葬儀は終了となります。
直葬の割合
通夜や告別式を行わない「直葬」の葬儀形式が利用されるようになったのは、2000年前後です。今では、主要な葬儀の形式のひとつとなっていますが、実際直葬はどのくらいの割合で行われているのでしょうか。
関係各所のデータを参考に、2017年の直葬の割合を確認すると、2017年現在では、直葬の割合は20%ほどと認識できます。また、都市部での割合は25%ほどで、都市部の方が地方よりも割合が高くなる傾向があるそうです。
つまり、約5人に1人は直葬を行っているということです。
直葬の費用相場
直葬は、一般的な葬儀に比べると費用を大幅に抑えることができ、20~30万円前後で葬儀をすることができます。一般葬だと平均121万円と言われているので、1/5と考えると、経済的な負担を軽減することができるといえます。(2017年日本消費者協会 葬儀についてのアンケート調査より)
具体的にかかる費用としては、以下が挙げられます。葬儀社を手配する際には、直葬であれ見積りをとって、これらの費用が含まれているかどうかを確認しましょう。
- ご遺体の搬送費 2回分
- ご遺体の安置施設 使用料
- ドライアイス
- 棺、骨壷、お別れ用の花束など、物品一式
- 火葬料金
- 運営スタッフの人件費
- 火葬手続き代行
直葬において注意すべきトラブル
直葬は多くの方がイメージする一般的な葬儀とは異なりますので、後悔やトラブルがないように直葬がどのようなものかを関係者間で共有しておく必要があります。直葬を行うにあたって注意すべきトラブルについて説明します。
菩薩寺とのトラブル
お付き合いのある菩薩寺がある場合は、そのお寺や宗教の考え方に則って葬儀を行い、火葬後は菩薩寺へ納骨することになります。直葬にしたい旨を菩薩寺に伝えて理解を得ておかないと、宗教的儀式を省いたということで菩薩寺への納骨を断られる可能性があります。
直葬を嫌う菩薩寺もあるので、まずは直葬をしても菩薩寺として問題がないかどうかをお寺に確認しておきましょう。
親戚とのトラブル
直葬はご家族や身近な方のみの少人数で行います。香典はいただかず、故人とのお別れの時間も短く、簡潔な葬儀です。まだまだ通夜・告別式を行わないスタイルは理解度が低いため、あらかじめ親族にはお伝えし「一般的な葬儀と違う!」とトラブルになることがないようにしましょう。直葬することは親戚にしっかり伝えて、イメージを共有しておきましょう。
また親族に理解してもらえても、参列者から不満が出ることもあります。参列者にも理解していただき了承が得られない場合は後日お別れの会を設けるなど、故人を偲ぶ機会を提案してもよいかもしれません。
直葬におけるマナー
直葬は火葬のみとなるため、身内だけの少人数で行うケースがほとんどですが、直葬ならではのマナーはあるので事前に知っておきましょう。
直葬の服装
直葬は参列しても火葬だけのため、通常の葬儀ほど服装にこだわる必要はありませんが、喪服や黒色のスーツなどの常識の範囲内で適切な服装を心がけたほうがいいでしょう。
直葬の香典
直葬の場合、一般的な葬儀に比べてかかる費用が少ないため、基本的に香典はいただかない方がいいでしょう。香典返しを準備せず香典を受け取らない場合には、直葬の日程をお知らせする際に「香典は辞退させていただきます」とあらかじめ伝えておきましょう。
また伝え漏れや直葬後に香典を持参されてしまった場合も、受け取る人・受け取らない人の差があってはいけないので受け取らないことを一貫しましょう。
まとめ
直葬の葬儀形式について概要や流れなどをまとめました。
直葬は通夜や告別式などの儀式を省き、近親者のみで火葬を行う形式です。簡素で費用もかからない反面、周囲の理解が必要であったり、最期のお別れの時間が少ないと思う方もいらっしゃいます。葬儀の形式も多様化している現代ですが、故人の最期を共に過ごす葬式をどのようにするかは、親族みなさんで話し合いイメージを共有した上で後悔のない形を選びましょう。
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