葬儀や告別式の際、喪主は参列者の方々に向けて挨拶を行います。本記事では、挨拶の例文を幾つかご紹介していきます。
大切な人を失って間もない中、気丈に挨拶をこなすのは難しいかもしれませんが、本記事を参考にポイントを抑えいただければ幸いです。
葬儀・告別式における喪主の挨拶
葬儀と告別式はもともと別々の儀式で、それぞれが異なる日程で執り行われていました。
しかし近年は「葬儀ならびに告別式」として、ひとまとめにして行われることが多くなっています。
葬儀・告別式における喪主の挨拶は、告別式の最後に一度行います。
喪主の挨拶のポイント
喪主が挨拶を行う際のポイントについて解説していきます。
所要時間
だいたい1分~3分ぐらいが目安です。普段の会話よりも、幾分かゆっくり話すよう心がけると良いでしょう。
また全文を暗記しなくても、あらかじめ用意したメモを読み上げる形でも結構です。
挨拶の内容
挨拶の内容を考える際には、以下の5つの要素を盛り込むと良いでしょう。
- 自己紹介
故人との関係性について話します。
(例)「故人◯◯の長男の◯◯でございます」 - 弔問へのお礼
葬儀、告別式に参列してくれたことに対するお礼の言葉を述べます。
(例)「本日は、ご多用にもかかわらず、ご会葬・ご焼香を賜り誠にありがとうございました」 - 生前のお礼
個人への生前の厚意に対して感謝の言葉を述べます。
(例)「生前はひとかたならぬご厚誼にあずかり、今ここに最後のお見送りまでいただきまして、故人もさぞかし皆さまのご厚情を感謝いたしているここと存じます」 - 故人のエピソード
生前の人柄や、良さが伝わるようなエピソードを述べます。
(例)「父は長年、仕事一筋の人間でしたが、定年後は趣味の釣りに没頭し、幸せな人生を送れたものと思います。」 - 今後のお願い
遺族を代表して、今後の力添えをお願いします。
(例)「今後とも父の生前同様にご厚誼をいただき、ご指導を賜りたく存じます。」
忌み言葉を避ける
冠婚葬祭の場で避けるべき、縁起の悪い言葉を「忌み言葉」と言います。忌み言葉の例を幾つかご紹介します。
- 重ね言葉
重ね言葉は、不幸が続くことを連想させることから忌み言葉とされています。
(例)「重ね重ね」「いよいよ」「度々」「ますます」「またまた」など。 - 繰り返すことを連想させる言葉
重ね言葉と同じく、不幸が続くことを連想させる言葉も忌み言葉です。
(例)「再び」「繰り返し」「続いて」「追って」「再三」など。 - 不吉な数字
数字の四(四→死を連想させることから)
数字の九(九→苦を連想させることから) - 直接的な表現
生死に関する直接的な表現は控え、滑らかな表現に言い換えます。
(例)「死ぬ」「死亡」→「亡くなる」「ご逝去」
「生存中」「生きていた頃」→「お元気な頃」「生前」 - 不吉な言葉
(例)「消える」「落ちる」「つらい」「とんでもないこと」「とんだこと」「迷う」「浮かばれない」 - 宗教、宗派にそぐわない言葉
宗教、宗派ごとに異なる忌み言葉もあります。
例えば、よく使われる「冥福を祈る」という言葉には「故人が冥土の旅を無事に終え、成仏できますように」という意味がありますが、浄土真宗には「冥土をさまよう」という概念がないため、冥福という言葉は使いません。「哀悼の意を表します」「安らかなお眠りをお祈り申し上げます」などと言いかえると良いでしょう。
またキリスト教や神道の場合は、「往生」「供養」「成仏」などの仏教用語を使わないようにします。
告別式の挨拶文例
告別式の挨拶について、幾つかの例を紹介していきます。
一般的な喪主の挨拶文例
遺族を代表いたしまして、皆様にひとことご挨拶を申し上げます。
本日は、ご多用中にもかかわらず、ご会葬・ご焼香を賜り、誠にありがとうございました。
お陰をもちまして葬儀・告別式も滞りなく相すみ、これより出棺の運びとなりました。
生前はひとかたならぬご厚誼にあずかり、今ここに最後のお見送りまでいただきまして、故人もさぞかし皆さまのご厚情を感謝いたしているここと存じます。
なお、残されました◯◯と◯◯に対しましても、今後とも亡き◯◯の生前同様にご厚誼をいただき、ご指導を賜りたく存じます。
本日は、ありがとうございました。
喪主が妻の場合
遺族を代表いたしまして、皆さまにひとことご挨拶を申し上げます。
私は、故人◯◯の妻◯◯でございます。
本日は、ご多用にもかかわらず、ご会葬・ご焼香を賜り誠にありがとうございました。
療養中には手厚くお見舞いくださいまして、深く感謝しております。皆様からいただいた温かいお言葉が、夫にとっても大きな支えになっていたものと存じます。
仕事中心の生活を送ってきた夫ですが、疲れている時でも、休日の時間は私たちのために使ってくれる優しい人でした。息子たちも結婚し、孫の顔も見ることができ、幸せな人生を送れたものと思います。
これからの人生、残された家族で支え合い生きていきたいと思います。故人の生前と同様に、皆さまのお力添えをいただければ幸いに存じます。
本日は、会社の皆さま、ご友人の皆さま、お忙しい中ご会葬をいただきまして、本当にありがとうございました。
喪主が夫の場合
遺族を代表いたしまして、皆さまにひとことご挨拶を申し上げます。
私は、故人◯◯の夫◯◯でございます。ご多用中にもかかわらず、妻の葬儀、並びに告別式にご会葬くださいまして、ありがとうございました。 また、たくさんの方にご丁寧にお見送りいただき、厚く御礼申し上げます。
私が妻と連れ添って◯◯年になります。長年のあいだ、良き妻、良き母として、私達家族を支えてくれました。
また子供たちが独り立ちした後は、お友達の皆さまを家にご招待し、趣味のお菓子を振る舞うことを何よりの楽しみにしておりました。皆様のおかげで、豊かな晩年を送れたように思います。
妻が亡くなった事実をまだ受け入れることができませんが、これからは残された家族一同、力を合わせて生きていこうと思っております。
本日は、お友達の皆さま、ご近所の皆さま、お忙しい中ご会葬をいただきまして、本当にありがとうございました。
喪主が子供の場合
遺族を代表いたしまして、皆さまにひとことご挨拶を申し上げます。
私は、故人◯◯の長男◯◯でございます。
本日は、ご多用にもかかわらず、ご会葬・ご焼香を賜り誠にありがとうございました。
故人は皆様がご存知の通り寡黙な性格でしたが、私にとっては父親であるだけではなく社会人としてどうあるべきかの手本を、その行動でもって、生涯を通して示してくれた人物でもありました。
また、父が立派な一生を送ることができましたのも、ひとえに皆様方のご厚情のたまものと深く感謝致しております。残された私どもは未熟者ではございますが、今後とも故人同様、ご指導、ご鞭撻をたまわりますようお願い申し上げまして、ご挨拶に代えさせていただきます。本日は本当にありがとうございました。
精進落としでの挨拶文例
火葬を済ませ、火葬場から自宅や斎場に戻ったら、精進落としの食事を行います。精進落としの前後にも、喪主、もしくは親族による挨拶を行う場面があります。
精進落としとは
昔は、親族が亡くなってから、四十九日の忌明けまでの期間は、仏教の教えに従って殺生を酒、肉や魚を絶ち、精進料理を食べて過ごすのが習わしでした。そして忌明けの際、精進料理から通常の食事に戻すことを指して精進落としと呼んでいました。しかし時代と共に形を変え、現在では、一連の葬送儀礼が済んだ後に、親族やお世話になった人たちに食事やお酒を振る舞う場を指して、精進落としと呼ぶのが一般的になっています。
精進落とし開始時の挨拶
精進落とし開始時の挨拶は、全員が席に着いたタイミングで行います。葬儀が無事に終わったことに対するお礼などを述べ、献杯を行って会食を始めます。献杯とは、弔事の際に乾杯に変わって行われるものです。故人に敬意を示し、死を慎みながら盃を交わします。明るい雰囲気で行われる乾杯とは違い、器を打ち付けたりはせず、合掌や黙祷とともに行われます。なお、地域や宗派によっては献杯を行わないこともあるので、あらかじめ確認しておくと良いでしょう。
例「本日はお忙しいところ、最後までお見送りいただきまして誠にありがとうございました。おかげをもちまして◯◯の葬儀・告別式も滞りなく終えることができました。ささやかではございますが、精進落としのお膳をご用意いたしましたので、故人の思い出話でもしながら召し上がっていただければと存じます。どうぞ、お時間の許す限り、ごゆっくりおくつろぎください。本日はありがとうございました」
精進落とし終了時の挨拶
献杯から1時間前後を目処に、タイミングを見て終わりの挨拶を行います。納骨や法要の日程が既に決まっている場合は、この時に合わせて伝えましょう。
例「本日はお忙しい中、また遠方よりお越しの方もおられる中、お時間頂戴しましてありがとうございました。故人もさぞかし喜んでいることと思います。故人の思い出話などをもっとおうかがいしたいところですが、皆様もお疲れのことと思いますので、このあたりでお開きとさせて頂きたく存じます。どうかこれからも変わらぬご支援のほどよろしくお願い申し上げます。本日は誠にありがとうございました」
葬儀・告別式の受付での挨拶
葬儀・告別式の受付は、誰がやらなければいけないという決まりはありません。ただし遺族席に座る親族が行うことは出来ませんので、それ以外の人が行うことになります。知人や友人、ご近所さんにお願いするのが一般的です。地域によっては、町内会や自治会の方に引き受けてもらえることもあります。人数は葬儀・告別式の規模に応じて3~5人ほどいると良いでしょう。
受付を任されたら
受付を頼まれ、引き受けた場合、当日は早めに会場に着くようにしましょう。葬儀が始まる30分前までには受付準備を済ませておく必要があります。
受付の挨拶
一般の参列者に対しては「ありがとうございます」「本日はお忙しい中お越しいただきありがとうございます」などと挨拶し、迎え入れます。雨や雪などが降っている場合は「足元の悪い中お越しいただきありがとうございます」と気遣いを添えた言い回しにすることで、より丁寧な印象になります。故人の親族がやって来た場合には「この度は誠にご愁傷様でした」という挨拶になります。また前述した喪主の挨拶と同様「重ね重ね」「繰り返し」などの忌み言葉は使わないように注意しておきましょう。
香典の受取り
挨拶が済んだら、参列者から渡される香典を受け取ります。両手で受け取り「ありがとうございます」「お預かりします」といった言葉と共に一礼します。
受け取った香典袋は、誰から渡されたものなのか分かるようにしておきましょう。名前が書いてなかったり、名字だけしか書いてない場合は、フルネームを訪ねておき、後で分かるように書き足してきます。
芳名帳の案内
香典を受け取ったら、芳名帳への記入をお願いします。記入して貰っている間に、返礼品を手元に準備したり、香典を会計係に渡すなどしておくと良いでしょう。
返礼品を渡す
芳名帳に記入してもらったら、「ありがとうございます」と一言添え、返礼品を渡します。その後、「葬儀会場はあちらでございます」などの案内を加えると、なお良いでしょう。
まとめ
葬儀・告別式における喪主の挨拶には5つの要素を盛り込む
- 自己紹介
- 弔問へのお礼
- 生前のお礼
- 故人のエピソード
- 今後のお願い
葬儀・告別式では忌み言葉を避ける
- 重ね言葉
- 繰り返すことを連想される言葉
- 「四」「九」など不吉な数字
- 直接的な表現
- 不吉な言葉
- 宗教、宗派にそぐわない言葉
精進落としの挨拶
- 精進落とし開始時の挨拶は、全員が席に着いたタイミングで。乾杯ではなく献杯を行う。
- 精進落とし終了時の挨拶は、献杯から1時間後ぐらいを目処に行う。
受付の挨拶
- 受付を任されたら、当日は早めに会場に行く。
- 一般の参列者には「ありがとうございます」。故人の親族には「この度は誠にご愁傷様でした」
- 挨拶を済ませたら、香典を受け取り、芳名帳に記入してもらってから、返礼品を渡す。
通夜での挨拶については以下の記事で扱っていますのでご参照ください。
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