身近な人が亡くなり、新しく仏壇を購入・設置する際には、仏壇をどの方角に向けて設置するのか決めなくてはいけません。
実は、仏壇の正面を向けるべき方角は、それぞれの宗派によって決まっているのです。
今回は、仏壇を新しく購入・設置するならば理解しておくべき、宗派別の仏壇の向きと方角について解説します。
仏壇の向き・方角の意味
同じ仏教でも、それぞれの宗派が持つ歴史により、仏壇の正面を向けるべき方角は異なってきます。
以下からは、東西南北それぞれの方角別に、仏壇を置くのに適しているかどうかとその理由を解説していきます。
東向き
日が昇る方角であり、仏教発祥の地であるインドで立身出世の象徴とされる東は、仏壇を置く向きとして非常に良いとされます。
このように、インドの慣習から仏壇を東向きに置くべきとする考え方を東面西座説と言います。
また極楽浄土が西の方角にあるとされることから、西の方角を向いて礼拝できるよう仏壇を東向きに設置すべきという考えも信じられています。
これを西方浄土説と言い、東面西座説とあわせて広く認知されている考え方です。
南向き
中国で高貴な人が南向きに座る慣習があったことに倣って、敬うべき仏様やご先祖様である仏壇も、南向きにすべきという考え方があります。
このような「南面北座説」はインドの慣習から来た東面西座説とあわせて広く認知されているため、南向きに仏壇を置くことも非常に良いこととされています。
仏壇を北・西向きにするのは避けるべき
縁起が良いとされる東向き・南向きと異なり、昔から仏壇を北や西に向けて設置することはタブーとされてきました。
理由としては以下のような説がありますが、はっきりとした根拠は不明です。
仏壇を北向きや西向きに置くべきでないとする理由
- 南面北座説に倣えば、北向きは身分が低い人が座る方角であったから
- 東面西座説、西方浄土説に倣えば、西向きは縁起が悪い方角であったから
方角で向きを決定しない本山中心説も
仏壇を置くときは東西南北の方角を重視するのではなく、総本山のある方角に向けるべき、とする考え方もあります。
このような「本山中心説」は主に真言宗で信じられており、家と総本山の位置関係によって、仏壇を向けるべき方角も大きく変わってくるのが特徴です。
宗派ごとの仏壇の向き・方角
一般的に仏壇の向きとして良いとされる方角、悪いとされる方角がわかったところで、ここからは宗派ごとの違いを診ていきましょう。
以下に日蓮宗、浄土真宗、臨済宗、創価学会、曹洞宗、真言宗の宗派別の適した仏壇の向き・方角をご紹介します。
日蓮宗
東西南北いずれの方角にもこだわらず、どの方角に向けて仏壇を置いてもかまわないというのが、日蓮宗の基本的な考え方です。
このため日蓮宗の仏壇は、遺族の住宅事情によってどの方角に向けて置いても問題ありません。
ただし、遺族が仏壇を向ける方角を決めかねている場合は、祈祷によって適した方角を決めてもらうという方法もあります。
浄土真宗
ご本尊を阿弥陀如来(あみだにょらい)とし、西方浄土の考え方を重んじる浄土真宗では、西向きに礼拝できるよう仏壇は東向きに設置することが多いです。
また、浄土真宗と同様に阿弥陀如来をご本尊とする浄土宗、天台宗でも東向きに仏壇を設置するのが一般的です。
臨済宗
ご本尊とするお釈迦様・釈迦如来が南向きに座っていたとする説から、臨済宗では南向きに仏壇を設置するのが良いとされます。
創価学会
南面北座説に基づき、かつては南向きに仏壇を設置するのが良いとされていましたが、近年になって方針が変わったのが創価学会です。
現在、創価学会では仏壇を設置するときの向きに決まりはなく、各家の住宅事情にあわせてご本尊様を安置するのにふさわしい場所に設置すればOKとされています。
曹洞宗
曹洞宗も臨済宗と同様、お釈迦様・釈迦如来をご本尊としているため、原則として仏壇は南向きで設置することを推奨しています。
真言宗
前述したとおり、真言宗では本山中心説が重視されているため、仏壇は総本山の方角を向くように設置するのが基本となります。
仏壇の向き・方角の注意点
前項までに紹介した宗派ごとの考え方とあわせて、仏壇の設置にあたって気を付けなくてはいけない注意点があります。
以下からは、仏壇を設置する向き・方角を決めるときの注意点をご紹介します。
神棚との向かい合わせ、真下の設置は避ける
仏教のものである仏壇と、神道のものである神棚が同じ家の中に共存している場合は、設置の仕方に注意が必要です。
特に神棚の真下に仏壇を設置する、または神棚と向かい合わせに仏壇を設置するのは、以下のような理由からタブーとされているので注意しましょう。
- 仏壇の上に何かものがあるのは、仏様に失礼だから
- 仏壇と神棚を向かい合わせに置くと、一方をお参りしているときに一方に背を向けることになり、どちらに対しても失礼だから
床の間との向かい合わせは避ける
家の中で最上座にあたる床の間に向けて仏壇を設置するのは、仏様やご先祖様を下座に置くことになるため、良くありません。
ただし、最上座である床の間に仏壇を設置するのはOKとされます。
直射日光のあたる方角は避ける
仏壇は基本的に木製のため、毎日直射日光に当たる場所に置くと痛みが早くなってしまいます。
直射日光の他、高温多湿になる場所・方角も仏壇の設置には向きませんので、特に本山中心説で向きを決めるときには配慮が必要です。
まとめ
東面西座説、南面北座説、本山中心説など、それぞれの宗派が推奨する仏壇の向きは、これまでの信仰の歴史から培われてきたものです。
故人や遺族が信仰する宗派の考え方にあわせて、適した方角に向けて仏壇を設置することが、より良い供養にもつながるでしょう。
しかし、現代では住宅事情が多様化しているため、どうしても古来からの習わし通りの設置が難しいケースもあります。
その場合は、檀家となっているお寺の住職や僧侶に仏壇の向きや設置場所を相談するようにしてください。
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