喪主と言えば「葬儀の代表者」と知ってはいるものの、一体誰が勤めるべきなのか。喪主となるべき人物が高齢だった場合など、様々な理由で勤める事が難しい場合はどうしたらよいのか。ここでは喪主の意味や決め方、喪主がやることなどを詳細解説します。
喪主とは
故人の死後、滞りなく葬儀を進めるうえで、喪主の役割は非常に大きいといえるでしょう。元々はケガレ(死)を嫌う神に対して、喪に服し身を慎む家族の代表者の意味をもち、故人の御霊をお守りすることが第一の役割とされていました。喪主は葬儀の主催者であり、遺族の代表として、葬儀に関するあらゆることをとりまとめ、葬儀を仕切らねばなりません。
喪主と似たような言葉で「施主」がありますが、施主とは施しをする人、布施行を行う人という意味で「出資者」という考え方になり、実務は執りおこなわないのが一般的です。
ただし、近年は両者の境界が曖昧になっており、喪主と施主は同じ人が勤めることがほとんどで「喪主」「施主」を区別することは少なくなっています。尚、葬儀以降に法要を営む際は施主と呼ばれます。喪主と施主の違いについては以下の過去記事もご参照ください。
ちなみに「親族だけで行う家族葬で喪主は必要なのか?」という疑問がよくありますが、家族葬にも喪主は必要です。小規模な家族葬には明確なしきたりはありませんが、遺族の代表として葬儀を行う以上は喪主は必要な役割となります。
喪主の決め方
一般的な決め方
喪主については「誰がやるべき」と明確に定めたものはありません。昔は、家督を継ぐ長男のお披露目の場であり、女性より男性がなるべきという考え方もありましたが、近年ではその風潮は薄れています。
それよりも、優先されるのは血縁関係の近さです。よって、喪主は故人との続柄で決めるのが一般的です。ほとんどの場合、家長に当たる親族が務めることになります。
優先順位は故人の配偶者が最も優先されます。故人に配偶者がいなければ長男、続いて次男と移っていきます。血縁関係の順序の一例が以下となります。
- 配偶者
- 長男
- 次男以降の直系男子
- 長女
- 次女以降の直系女子
- 故人の両親
- 故人の兄弟姉妹
イレギュラーな事例
配偶者が高齢な場合
喪主が高齢のときは名前だけ喪主として、実際の葬儀の窓口は長男・長女などが行うケースが多いです。またその他にも何らかの理由で優先順位の上位者が喪主を務めるのが難しい場合は、優先順位を必ず守る必要はありません。家族で相談し納得のいく喪主を決めましょう。
故人に血縁者がいない場合
喪主は法律で誰がやるべきかと決まってはいません。故人に血縁者がいない場合は、友人や知人が喪主を務めてもよいでしょう。友人にも喪主の引き受け手がいない場合は、葬儀社やお寺の住職が喪主を代行してくれることもあります。
故人と親しい人が喪主代理となることもできる
故人に家族がいても、家族以外が喪主になることもあります。その人と故人が親しく、関係が深い場合です。故人の遺志が示されているのなら、血縁者以外でも喪主になれます。遺言書などで明確に故人の遺志を確認できる場合は、その人が喪主を担当するのがベストです。
ただし、その際は故人の親族の理解と協力が必要です。故人に近い血縁者がいるにもかかわらず他人が喪主を務めると、事情を知らない人は「なぜ血縁者が喪主をやらないのか」と違和感をもち、いぶかしむかもしれませんので家族との相談は充分に必要です。
また、費用は故人の家族が負担し、葬儀の内容もある程度家族の希望を反映する必要があります。家族や親族以外が喪主を務めるには、親族を取りまとめられる人物であることも大切です。
喪主を拒否できるか
故人に近い血縁者が高齢・遠方・病気など何らかの事情がある場合、喪主になることを拒否できます。故人の遺言書で喪主として名前を挙げられている場合でも、喪主の取り決めに関してまでは法的効力が無く、「やらない」という選択は可能です。指名された人が「できません」といえば、喪主を強制されることはないのです。
その際は家族や親族がいるならば、その中から他の喪主を立てるのがよいでしょう。身近な血縁者がいない場合は、他の人を探さなければなりません。どうしても仕方のない理由がある場合は別ですが、基本的には引き受けるのが望ましいといえます。
喪主になったら
葬儀までの段取り
葬儀の事前準備と事前相談
悲しみを受け入れるのは辛い事ですが、なるべく事前に葬儀社に問い合わせをし、予算・プランなどを検討し、宗教等、葬儀にまつわることを調べておきましょう。
各方面への危篤・ご臨終の連絡、菩提寺や葬儀社に連絡を取ります。
まず故人が亡くなったことを家族、親族に連絡します。相手の状況にもよりますが、一刻も早い連絡が望ましく、早朝・夜間を気にする必要はありません。血縁者に連絡を済ませたら、葬儀社に連絡を入れ葬儀をお願いしたい旨を伝えれば、担当者が迅速に対応してくれるはずです。
併せて寺院への連絡も必要ですが依頼できるお寺がない場合は、葬儀社に相談すれば近い場所や都合のよいお寺を紹介してもらえます。
葬儀社との打ち合わせ
確認ポイント
- 参列人数の検討
- 日程の検討
- 葬儀を行う場所の検討
- 菩提寺への連絡
- 葬儀に参列してほしい方へ連絡
ご葬儀の準備
確認ポイント
- 遺影写真の選定
- 棺に入れたい品の選定
- 葬儀で飾りたい写真や流したい音楽などあれば選定
- 葬儀時に受付や挨拶をしていただく方に依頼の連絡
- 遠方からの参列者への宿泊先手配
お通夜
受付や接待係などの役割を決め、弔問客を迎えます。喪主は実務には携わらず、弔問客の応対に徹します。お悔やみの言葉をかけられたら、丁重にお礼を述べます。
焼香が終わり、僧侶が退出したら、参列者にお礼の挨拶を述べ、通夜振る舞いの席へ誘導。また葬儀・告別式の開始時間を伝えます。
確認ポイント
- 告別式で火葬場に同行する人数の再確認
葬儀・告別式
確認ポイント
- 弔問客の対応
- 読み上げてもらう弔電の選定
- 出棺時の挨拶
葬儀後の手続き
確認ポイント
- 香典の確認
- 香典返しの手配
- 逝去後の手続き
- 法要・お墓などの供養の手続き
以下葬儀後にやるべき事についての過去記事もご参照ください。
喪主の服装
喪主の装いは、正式礼服または、略式礼服が基本です。男性は昼ならモーニングに黒ネクタイ、または和装が正装です。モーニングは昼だけの服装なので、通夜では絶対に着ないように注意しましょう。通夜は「略式礼服」となるブラックスーツを選びます。
通夜から葬儀にかけて服を準備する時間がない場合は、黒のスーツの略式礼服で構いません。足元は黒か黒に近い靴下に光沢の無いシンプルな黒い靴がふさわしいとされます。
女性は和装が最も望ましいとされますが、近年は和装で葬儀に参列する人が少なくなりました。動き回ることも多いので、黒の礼服でも問題ありません。ストッキングや靴はラメや光沢のない黒いもの、バッグもシンプルで控えめな黒いバッグを選びます。
また、女性はヘアスタイルも見た目の印象を大きく左右します。髪が長い人は耳より下で一つにまとめると清潔感が出ます。アクセサリーは結婚指輪以外は外すのが基本です。イヤリングやピアスなども外しておきましょう。女性が付けて良いアクセサリーは、一連のパールのネックレスだけです。
喪主の妻
夫が喪主となった場合、妻は喪主の妻として夫の手助けをするために忙しくなります。
場合によっては、喪主の夫とともに挨拶に出向く必要があります。また、葬儀の前には親戚や知人へ訃報の連絡を行う必要があります。
喪主が一人で訃報の連絡を全員にするというのは時間的にも大変なので、夫の兄弟姉妹であったり、夫の方が普段から交流のある相手へは喪主である夫自身が訃報の連絡を行った方がスムーズではありますが、それ以外の方への連絡は妻が担当することが多いです。誰に連絡する必要があるのかを確認したり、誰に連絡を済ませたのか、把握できるように一覧表を作成しておくと間違いがありません。
また、遺族の中で喪主の妻は、席の順番や焼香の順番がどのようになるか、地域や家の風習の違いもあるため、事前に相談しておくとよいでしょう。
挨拶のマナー
喪主として挨拶をする際は「故人に対する生前のご厚意への感謝」「葬儀に足を運んでくださったことへのお礼」を忘れずに伝えましょう。また、弔事の挨拶には使ってはならないとされる「忌み言葉」があります。「重ね重ね」「続く」などの繰返しを意味する言葉は避けます。
まとめ
喪主は葬儀全体の責任者となるため、把握するべき事が沢山あります。ですが概は葬儀社の方が順を追って説明し、手配を手伝ってくれます。重要なのは故人のお見送りに対し、どの様な葬儀を行ってあげたいかを考え、周りの親族、知人を取りまとめる事。また故人に代わって弔問客を迎え、生前の感謝をお伝えする事です。
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