長期を目的とした老人ホームへの入居は、ちょっとした「引っ越し」のようなものです。その引っ越しに、何を持って行ったらいいのか、どれぐらいの量が必要なのかは悩ましいところではないでしょうか。施設によっては思いもよらない意外な物が必要になることもあります。ここでは入居時に必要な持ち物をリストでチェックしていきます。
必要な持ち物
持ち物については、基本的に入居前に施設からの説明や、受取る書類に必要事項として書かれていますが、いざとなると「あれもこれも」と考えてしまい、かなりの荷物量になってしまう方が多いようです。先ずは最低限必要な物を確認していきます。用意する目安として、「1週間分の旅行」に持っていく物を想像するとわかりやすいと思います。足りないものは後日追加していけばよいので、ひとまずは必要最低限を用意しましょう。
最低限必要な持ち物
衣服
多くの老人ホームは業者が洗濯を代行してくれるサービスがあります。そのため、衣服は最低限1週間分を用意しておけば問題ないでしょう。冬場は防寒具が必要なので、上着やストール、ひざ掛けを用意しましょう。ハンガーや衣服ケース、タンスなどは付いていないことがあるので、収納スペースを確認しておくと便利です。以下詳細目安です。
- 下着:上下7枚
- 靴下:7組
- パジャマ上下:5組
- 日常着:7組
- 外出用の服:1〜2枚
- カーディガンなどの羽織るもの:3枚
- 外履き、内履き
タオル類
汚れることが多いので、多めでも良いかもしれませんが、必要最低数の目安としては衣服類同様にバスタオルとフェイスタオルが各7枚程度です。
洗面道具・身だしなみ道具
基本的に歯ブラシやひげ剃り、耳かきなどは老人ホームには用意してありません。衛生上他人と共有することができないためです。入居者が普段使っているものを持参し、入居後は必要に応じて買い足すことになります。以下詳細目安です。
- 洗面用具
- 歯ブラシ、歯磨き粉、コップ:各1〜2個
- 耳かき
- つめ切り
- 入浴時に必要なもの(シャンプー、リンスと石鹸など):各1個
- くしや鏡・男性ならヒゲ剃り用品・女性なら化粧水や乳液など
食事に関わるもの
老人ホームでは食事提供の際、施設から提供される食器を使うことがほとんどですが、使う茶碗やお箸、フォークなどが様々な理由で使いにくいと感じることもあるかもしれません。可能であれば入居者の使い慣れた食器や、使いやすい形状のものを持参すると良いでしょう。
- 箸やスプーン、フォークなど:1組(落とした場合を考え、多くてもよい)
- お茶碗とお椀:各1個(割れにくいプラスティック製がおすすめ)
- あると便利なもの:食事用エプロンやストロー
その他
目が悪い方や入れ歯をしている方など、入居者にとって必要なものは必ず持参しましょう。義歯を使用している人は、ケースやケア用品、服用する薬がある場合は薬やお薬手帳は忘れずに。
実は必要になる「意外な物」
加湿器
居室に加湿器を置くことで、インフルエンザなどの感染症予防対策の為にあると便利です。使い勝手の簡単なもの、衛生を保てる物を選ぶと良いでしょう。施設によっては「用意して欲しい物」としてリストアップされているところもあるようです。
寝具・カーテン
施設によっては、居室の寝具(ふとん、シーツ、カバー類)やカーテンの用意が必要になる場合もあります。寝具に関しては汚れる可能性もあるので、シーツやカバーは少し余裕をもって用意すると良いでしょう。
トイレットペーパー・ティッシュ
トイレットペーパーやティッシュ等も自分で用意が必要となるケースが多いです。消耗品は必ず買い足す事になりますので、最初からあまり沢山持ち込む必要はありません。最初はそれぞれ1パックずつくらいで持参すると良いでしょう。
あると便利なもの
ラジカセなどの家電類
雨で外出が出来ない、特にする事がないといった時間にはテレビやラジオなどが居室にない場合は用意すると便利です。ただしこれには賛否両論あり、耳が遠い方は音が聞きとれませんし、大勢の中で暮らす中、大きな音が出るものは同居する方に嫌がられます。また、だんだんと耳が遠くなり、寝ている時間が多くなって最終的には使わなくなるというケースも多いようですが、使用希望される際は持ち込み可能であるかを確認し、手軽なもの(撤去し易いものなど)で用意すると便利です。
パズルや写真集
テレビや本を持参しても、目が疲れるなどの理由で徐々に見ることが少なくなりがちになるようです。その代わり、パズルや写真集などは目が疲れず暇をつぶせることからあると意外と重宝するようです。
クッション類
クッションや足枕は、床ずれ防止などいろいろな役割で使えるので重宝するようです。ただし、張り切って大きなサイズを用意しても、抱き枕のように大きいものなどはベッドから落としてしまったり、居室に対しかさばるだけと、あまり使い勝手が良く無いようです。先ずは手軽なサイズで用意するか、急を要さなければ生活空間に慣れた所で好みのサイズを検討しても良いかもしれません。
持ち物の注意点
持ち物には必ず記名
洗濯は基本的に施設一括で行うので、名前が書いていないと、誰のものかわからなくなります。マジックなどで本人の名前を見やすく書きましょう。また、だんだん褪せてくるので、時々点検をしましょう。更に細かなものも、なるべく名前を記入しましょう。ティッシュ1つでも入居者同士のトラブルになるようなこともあるそうです。ティッシュケースを用意しケースに名前を書いておくと便利です。記名が出来ないもには個人の目印をつけておく、名前入りポーチにまとめるなどすると良いでしょう。名前入りシールを作成しておくのもオススメです。
衣類は買い足す前提で
他人との共同生活で、おしゃれな衣服や新品のものをと張り切ってしまいがちですが、季節や情況の変化を踏まえ、必要な衣類は必ず情況変化します。
そして老人ホームは「介護」が付随してくる場所となりますので、「介護のしやすさ」を想定しましょう。例えば、ピタッとしたズボンなどは本人も介護職側も着脱しにくいので、できるだけ自分で扱いやすい服が良いでしょう。また、高齢者は食事をこぼしたり粗相をしたりと服を汚してしまいがちです。洗濯は業者がおこなってくれますが、小さいボタンの多い衣類やウールのカーディガンなど、クリーニングしづらい洋服は避けたほうが無難です。洗濯は頻繁に、乾燥機にもかけるので、丈夫な素材や縫製の衣類がオススメです。
新品よりもいつもの物
老人ホームでの新生活、人目にも触れるからと新品を用意したくなりがちですが、本人が使い慣れているのが一番です。認知症などの場合は特にですが、新しいものばかりに囲まれることは本人が「自分のもの」という認識が持てず、混乱やストレスの原因にもなり兼ねません。いつも使っていたマグカップ、衣類などを中心に足りないものを買い足すくらいが良いでしょう。また、家族と離れて生活をするようになると、入居後はふと寂しい気持ちになりがちです。そんなときに、胸に抱けるような、家にあったぬいぐるみや人形、好きで読んでいる本、音楽を聴くためのラジカセ、趣味の用品などを持って行くのも、寂しさの軽減に役立ちます。
大型家具の持ち込み
タンスや机などの家具類は、退去時に処分が大変です。入居者本人の希望もあるとは思いますが、移動させるのが容易では無い大型家具の持ち込みは、入居後よほど必要と感じない限りは持ち込みは避けておいた方が良いでしょう。
持ち込めないものを確認する
危険物は持ち込み禁止
ほとんどの施設で基本的に持ち込めないものとしては火器類・刃物類などです。刃物類としては、はさみや裁縫針なども想定されます。裁縫が趣味で持ち込みたいと希望される場合もあるかと思いますので事前に確認しましょう。ヒゲ剃りについては持ち物として前述しておりますが、念のため確認しておくと安心です。
食品類
疾患を抱えた高齢者が多い老人ホームでは、食事の持ち込みを禁止しているところも増えてきています。特に生モノと家庭での調理品は食中毒の懸念や、食事制限が必要な入居者とのかねあいもあるため注意が必要です。
タバコやお酒
特定の喫煙場所を設けている施設もまれにあるようですが、ほとんどの施設では、敷地内全面禁煙となっているところが多いです。お酒に関しては、自立して生活が可能と判断された入居者専門の施設では、お酒は自由とされているところはあるようです。
その他にも自転車・自動車などの車両類、携帯電話、家電製品など持ち込みの制限が施設により異なりますので、自分が持ち込みたいものを事前にリスト化し、施設担当者にきちんと確認をとっておきましょう。
まとめ
- 老人ホーム入居の際の持ち物注意点は以下となります。
- 1週間の旅行(生活)を想定し用意する
- 新品のものより使い慣れたものにする
- 情況の変化に併せ買い足す事を前提とする
- 細かい物でもなるべく名前を記入、本人のものとわかる様にする
- 持ち込みたいと思うものをリスト化し、事前に確認をする
以上を踏まえ、老人ホームの入居に向け、持ち物準備の参考にしていただければと思います。
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