人が亡くなったときには、さまざまな書類が必要になります。「埋葬許可証」もそのうちのひとつです。ここでは、「埋葬許可証とはどんなものか」「埋葬許可証の発行の手続き」「納骨までの手続き」について解説していきます。
火葬許可証と埋葬許可証とは、火葬・納骨をするために必要なものです
「埋葬許可証」とは、亡くなった人のご遺骨を埋めるために必要となる書類のことをいいます。この「埋葬許可証」は、「火葬許可証」と切っても切り離せない関係にあります。「火葬許可証」とは、故人を火葬するために必要不可欠な書類のことです。詳しくは後述しますが、火葬許可証がまずあり、そこに火葬場によって「火葬したこと」を証明する印鑑が押されたのち、埋葬許可証がその効力を発揮することができるようになります。
火葬許可証と埋葬許可証は、基本的には同じ用紙にまとめられています。名前や形式は市町村ごとに多少違いはありますが、いずれも故人を弔うために必要なものです。
火葬許可証と埋葬許可証発行の手続き~葬儀会社に代行でとってもらえる
ここからは、埋葬許可証と火葬許可証を発行するための手続きを紹介していきます。
- 医師から死亡診断書を受け取る
- 死亡診断書と一体になっている「死亡届」に、住所氏名などを記載する
- 死亡診断書・死亡届を、市町村の役場の窓口に出す
- 火葬許可証(埋葬許可証)が発行される
- 火葬許可証を火葬場に提出し、火葬をしてもらう
- 火葬後、押印が行われる。これによって、埋葬許可証が効力を発揮するようになる
【その後】埋葬許可証を使い、故人を埋葬する
このような流れを経て、火葬許可証と埋葬許可証は効力を持つことになります。ただしこのような手続きを、残された家族が行うことはほとんどありません。なぜなら現在は葬儀会社を介して火葬を行うことが一般的で(火葬場のなかには「個人からの火葬の依頼は受けない、必ず葬儀会社を通すこと」としているところもあるほどです)、葬儀会社に依頼すればこれらの手続きはすべて葬儀会社が代行してくれるからです。また、これらの書類手続きの代行費用は、葬儀料金に含まれているケースが大半です。そのため、特殊な事例を除けば、ご家族の立場で上記のような手続きを行うことはないといえるでしょう。
納骨までの手続きについて
上記では、「埋葬許可証を手に入れるまでの流れ」についてみていきました。ここからは、「実際に納骨にいたるまでの流れ」について解説していきます。なお今回は、おそらくもっとも一般的である「墓地にある墓石の下に埋葬する」という場合の手順について取り上げています。
- 石材店や宗教者(お寺のご僧侶など)に連絡をして、納骨式の日を決める
- 墓地の管理者に、火葬場の押印済みの埋葬許可書を提出する
- 参列者に納骨式の案内を行う
- 納骨式当日、石材店と宗教者、参列者とともに納骨を行う
【その後】参列者や宗教者とともに、食事などをとる
日本では、「死後〇日以内に埋葬しなければならない」という決まりはありません。仏教の場合を例にとれば四十九日法要の際あるいは一周忌法要の際に納骨を行う形式がよく見られますが、これも絶対的なものではありません。たとえば「まだ気持ちの整理がつかないから、三回忌までは手元においておきたい」「墓地・墓石を購入するだけのお金が、今はまだ確保できない」という場合は、準備が整うまで手元に置いておいても構いません。またそれ以降も「手元供養」というかたちで弔いを続けていくことは可能です。
補足:一連の動きに関しての、よくあるQ&A
上記ではもっとも一般的な知識や流れについて解説してきましたが、最後にこれらに関する細かな補足の知識を、Q&A方式でお伝えしていきます。
Q1,死体検案書って何のこと?
A1.検死が必要になったときに出される書類のこと
「病院でそのまま息を引き取った」「長患いをしていて、先が長くないと言われていた」などのようなケースでは、上記で述べたように「死亡診断書」が出されることになります。しかし、「昨日まで元気だったのにいきなり亡くなった」「事件性が疑われる」などのような場合は、警察による検死が行われることになります。この検死を経て発行されるのが、「死体検案書」です。ただ死体検案書の中身は、死亡診断書とほぼ変わりません。
Q2.故人の意向ですぐに火葬をしたいのだけど……
A2.死亡後24時間以内の火葬は法律によって禁じられている
故人の意向であったとしても、日本では死後24時間以内での火葬は禁じられています。これは、今よりももっとずっと「亡くなったことを診断する技術」がつたなかったころの名残なのかもしれません。どれほど簡素な葬儀であっても、死後24時間以上経たない限りは、火葬は認められません。
Q3.水葬や土葬にしたい
A3.日本で「火葬」以外の選択肢を取ることは非常に難しい
日本においては、亡くなった人の99パーセント以上が「火葬」というかたちで弔われることになります。「水葬」はごく限られた特殊な条件下(「航海中に亡くなり、衛生上故人を保存しておくことができず、死後24時間以上が経過しているあるいは伝染病にかかっている」などの条件をすべて満たす場合など)でのみ許可されていますが、これにあてはまるケースは非常に少ないといえます。
なお土葬に関しては、それを禁じる法律自体はありませんが、自治体の許可や墓地管理者の許可が必要になります。また市町村によっては土葬を禁止している場合もあります。このため、土葬を選ぼうとした場合も非常にハードルが高くなります。
Q4.納骨のときに納骨式を行いたくない
A4.納骨式を行わなければならないという法律的なしばりはない
納骨を行うときにはご親族を呼び、宗教者を呼んで行うのが一般的ですが、これは「このようにしなければ納骨ができない」というものではありません。ご家族だけで、宗教的な儀式を一切伴わず、納骨を行うこともできます。
Q5.納骨をする際には、石材店の手が必須となるのかどうかを知りたい
A5.連絡はほぼ必須だが、お墓の形式によっては石材店に依頼しなくても自分たちで行える
納骨をするときには、墓石を動かさなければなりません。墓石は非常に重いため、前述したように、石材店の持っている機材や技術が必要になることが多いといえます。
ただし墓石の形式によっては、「女性一人でも簡単に動かせる」「形状も複雑ではなく、口頭での説明だけでも動かせる」というものもあります。このような場合は、石材店の力を借りずに納骨が行えるでしょう。
もっとも、自身宅の墓石の形式がこのように「自分たちで動かせるものであること」を把握できている人はそう多くはないと思われます。そのため、実際に立ち合いを必要とする・しないに関わらず、一度は石材店に連絡をするべきでしょう。なお樹木葬や海洋葬を選ぶ場合は、当然石材店の手を借りる必要はありません。
Q6.埋葬許可証を紛失した!
A6.まずは骨壺袋の中を確認する
埋葬許可証は原則として「火葬後にご遺骨を集めた骨壺」と一緒に、骨壺袋の中に入れられています。そのため、「紛失した!」と思った場合は、まずはここを探してみてください。「骨壺の中にもない」という場合は、市町村役場に再発行の依頼をかけます。基本的にはこれで問題なく再発行してもらえるはずですが、「死後何年も経っていて、市町村の役場でも保管されていない」という場合は、火葬場に連絡をして火葬許可証を再発行してもらうことから始めなければなりません。
お亡くなりになってから埋葬まで、現在では葬儀会社を介してスムーズに行うことができますが、これらの知識を知っていると知らないとでは、いざというときに困惑せずにすみますので、是非それぞれについて理解しておくとよいでしょう。
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