結納金なしは失礼?最近の傾向と結納金の役割とメリット

結納金のイメージ

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「結納金」という言葉は、広く知られているものです。
ただ、結納金の詳細についてまでは知らない人もいるのではないでしょうか。
ここではこの「結納金」を取り上げて、

  • 結納金の基礎知識
  • 結納金の使い道
  • 現在の結納金事情
  • 結納金の税制上の取扱い

について解説していきます。

結納金の基礎知識

結納金とは、結婚(結納)のときに、男性から女性に向けて贈られるお金のことです。詳しくは後述しますが、女性側がこの受け取った結納金で結婚の支度をすることができるようにという目的で交わされるものです。

結納金の歴史は、1000年近く前にまでさかのぼります。貴族文化が花開いていた平安時代は「結婚」といえば、男性が女性の家(屋敷)に通うのが一般的でした。男性が女性の家に魚とお酒を持参してともに楽しむことで、結婚が成立すると考えられていました。このときに持ち込まれた「魚とお酒」が、現在の結納金の元祖と考えられています。
ついで、武家文化であった鎌倉時代は、女性が男性の家に入るというかたちが主流となりました。このときに男性側は、女性側の家に対して、「ここまで女性を育ててくださってありがとうございました」という意味で、飲食物や服の生地を渡したとされています。
結納金が、現在のような「お金」のかたちになったのは、もっと時代が現在に近づいてからです。また現在は昔とは異なり、結納金は、「女性をもらったときのお礼」という意味ではなく、単純に「結婚の支度を整えるためのもの」という意味でやり取りされるものとなっています。

ちなみに、結納金は結納品のうちのひとつとして扱われます。このとき結納金には「小袖料」などの名が与えられますが、これは鎌倉時代に着物の生地をやりとりしていたことの名残だと考えられています。

結納金の使い道

結納金の相場は、だいたい100万円程度です。これは新郎となる人もしくは新郎となる人の両親が用意するのが一般的です。

すでに上でも述べましたが、現在の結納金は、「結婚の支度金」「結婚の準備金」としての性格が強いといえます。
そのため、たとえば、新居に入れるための家電用品をそろえるのに使ったり、結婚式のお金として使ったりするカップルが多いといえます。また、新婚旅行などに使うカップルもいるでしょう。

なお、結納金は「もらったら終わり」というものではありません。
女性側のうちのおよそ7割程度が、「結納返し」というかたちで、お返しをしていることが分かっています。
ちなみにこのときは、現金で渡すこともあれば、スーツや時計などを返すかたちを取ることもあります。現金でお返しする場合は頂いた金額の半分程度をお返しするのが一般的で、物で渡す場合は多くても4分の1程度(25万円以下)とされることが多いといえます。

ただしこの結納返しのかたちも多様化していて、「結納返しを想定した金額(結納金の相場100万円-結納返しの相場50万円=差し引き50万円)を渡す」「結納金も結納返しもまとめて新生活のための費用として使う」などのやり方もよく取られるようになってきています。

現在の結納金事情

ここからは、現在の結納金事情について見ていきましょう。
実際に、結納金を交わす人の割合はどれくらいなのでしょうか。

これはデータによって大きく数字が異なります。

たとえば、「結婚スタイルマガジントレンド調査2018」では、なんらかのかたちで結納金を交わしたという人が全体の6割であったとしています。なおこの「結納金を交わさなかった」という残りの4割のうち、3分の1程度は「結納金は取り交わさなかったが、結納品のやりとりはした」と答えています。

また、「ゼクシィ結婚トレンド調査2023」では、「結納金+結納品があった」と答えた人と「結納金のみがあった(結納品はなかった)」が48.3%となっていて、結納金を交わした人の割合が9割近くに上っているとしています。

一方、ハナユメがとったデータでは、「結納をしない」とした人の割合が8割にも上っていて、結納をした人の割合はわずか2割程度にとどまるとされています。このデータでは、「顔合わせだけをして、結納(略式結納)はしなかった」と答えた層が全体の7割を超えていて、結納金を取り交わさないカップルが一般的であるとしています。

このように、結納金の取り交わし・結納式の実施は、アンケートによって、2割・6割・9割と大きく変わってきます。このため、現在においては、「結納金を交わす/交わさない」においては一般的かつ多数派の「正解」はないといえるでしょう。両家で話し合って、納得のいくスタイルを選ぶことが何よりも重要です。
基本的には新郎新婦の気持ちや意向が一番優先されるべきですが、「自分たちはどちらでも良い。ただ、新婦側の母親が交わしたがっている」などのような場合は、「行いたい」という気持ちに寄り添う選択肢を取るのもひとつの手です。結婚すると長い付き合いになるので、「やりたくない」という強い気持ちがないのであれば、「やりたい」という人の気持ちに寄り添う方が無難だという見方ができるからです。

出典:
結婚スタイル「結納金なしの結納は失礼にならない?なしにする理由や割合など、最近の結納事情を紹介(内マガジントレンド調査2018)」
https://www.niwaka.com/ksm/radio/betrothal-meeting/betrothal-money/base/02/

ゼクシィ「ゼクシィ結婚トレンド調査2023」
https://souken.zexy.net/data/trend2023/XY_MT23_report_06shutoken.pdf

ハナユメ「結納をするしないは両家判断!顔合わせ食事会のみ行う人は72.8%」
https://hana-yume.net/howto/yuinou-judge/

結納金の税制上の扱いについて

現在の結納金事情を知ったところで、最後に、「それでは結納金は、税制上どのように扱われるか」について解説していきます。

結納金は、新郎(や新郎の家)から新婦(や新婦の家)に渡されるものです。日本の税法にそって考えるのであれば、これは「贈与」とみなされ、贈与税が発生するのではないかと思う人もいるかもしれません。

しかし、実際には結納金に関しては贈与税は発生しません

社会通念上相当と認められるものについては、贈与税を課税しないことに取り扱うものとする。ー引用:国税庁「通達目次/相続税法基本通達」内「(社交上必要と認められる香典等の非課税の取扱い)」

という定めがあるからです。

ただし、一般的な結納金の相場から外れるくらい高額なやり取りをする場合は、贈与税の対象となる可能性があります。心配な場合は、税理士や国税庁に相談するとよいでしょう。

まとめ

「結納金」は、非常に長い歴史を持つものであり、ひとつの文化でもあります。
しかし冠婚葬祭あらゆることが時代とともにその姿が変わってきているように、結納金のあり方もまた、時代とともに変わっていっています。「結納金を交わす人の割合」がデータによって大きく違うことからも、「現在の結納金事情」はご家庭ごとによって考え方に違いがあることが分かります。

「結納金を交わすのか」「結納金を交わすとすれば、どのようなかたちをとるのか」「結納金はどれくらいの金額にすればよいのか、お返しはいくらくらいにするべきか」に、明確な正解はありません。新郎新婦を中心として、ご家庭でよく話し合って決めるとよいでしょう。
※なお、結納金は基本的には贈与税の課税対象外とされます。ただし金額が大きくなるとまた別の解釈が生まれるため、不安な場合は専門家に問い合わせることをおすすめします。

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