終活という言葉は今や非常にメジャーなものとなっています。老後をより自分らしく生きるために、また最後のときをより自分らしく生きるために、終活を行っていこうとする人の数は決して少なくはありません。
ただ、そこで気になるのは、「終活にかかる費用」です。
ここでは、
「終活にかかる費用は何によって決まるのか」「終活にかかる相場はどれくらいか」
を解説していきます。
終活は「どこまでやるか」によって費用が大きく変わる
まず大前提として、終活は「どこまでやるか」によってその費用が大きく異なります。
たとえば、「比較的早い段階(40代など)で終活を始め、現在の家に住み続けたまま不用品を処分する」という人と、「高齢者施設に入居することが決まっていて、今住んでいる一軒家の荷物をすべて処分する」という人では、同じ「不用品を処分する」でもかかる費用は大きく変わってきます。
また、お墓もいらないと考える人と、一からお墓を建てようとする人では、かかる費用が2桁ほども変わることもあります。さらに、「おひとりさまなのか、そうではないのか」「親が残していったものはあるのかどうか」などでも、かかる費用には違いが見られます。
次の項目ではこのあたりも踏まえて、「終活の工程でかかる費用」について解説していきます。
※なお専門家によっては、終活の費用として医療費などを含んで算出していることもあります。ただこれは厳密には「終活の費用」ではないので、ここでは割愛します。
各工程の費用の目安
終活で費用が必要になる工程としては、
- エンディングノートを書く
- 不用品の処分
- 遺言書の作成費用
- 葬儀を見据えて互助会などに加入する
- 墓の生前契約
などが考えられます。
一つずつ、かかる費用とその根拠について解説していきます。
エンディングノートを書くまで 0円~1000円
まず、終活の基本となる「エンディングノートの作成」から見ていきましょう。
エンディングノートは、いわゆる終活セミナーなどに参加すれば無料で手に入れることができます。また、たとえば福岡市やつくば市などでは、エンディングノートを無料で配っています。
また自分で購入する場合であっても、100円~1000円程度で、100円ショップや文房具ショップなどで簡単に買うことができます。自分で使いやすいようにカスタマイズをするのもよいものです。
なお現在は、エンディングノートを書けるスマホアプリなども出ています。このようなアプリは、資産の記述などを行ううえでは非常に便利です。ただ紙媒体の方が残された家族が気づきやすい・読みやすいという違いはあるので、状況によって選び分けていくとよいでしょう。
不用品の処分 2000円~60万円
残された家族が困るものとして、「不用品をどう処分するか」が挙げられます。特に一軒家で長く一人暮らしをしていた親が亡くなった場合、不用品の処分に大きな手間とお金がかかりがちです。このため、家族のことを考えるのであれば、不用品の処分は積極的に行っていくべきです。
不用品の処分は、「どんなかたちで、どこまで行うか」によって費用が大きく異なります。
たとえば、「まだ自分は若く体力があるので、1週間に1日不用品をまとめる日を作って、次のごみ捨ての日に出す」という方法をとるのであれば、ごみ袋の費用だけで済みます。不要になった家電製品や家具は場合によっては買取してもらうことができますし、それが難しい場合でも1つあたり1000円程度で自治体に回収してもらえます。
一方、「高齢者であり、荷物も非常に多い」「事情があり、迅速に片付けなければならない」という場合は、専門業者の手を借りることになるでしょう。
単身者用のアパートなどでも専門業者の手を借りれば30,000円~15万円程度の出費を覚悟しなければなりません。一軒家の場合は、60万円近くになることもあります。
また専門業者による片付けは業者ごとによる費用の価格差が大きいため、基本的には相見積もりをとることが推奨されます。
なお相見積もりをとる場合は、単純に「値段」だけで比較するのではなく、「その値段のなかにどのような作業が含まれるのか」「A社では無料となっている作業が、B社ではオプション扱いになっていないか」などを確認することも大切です。
遺言書の作成費用 0円~30万円
エンディングノートのなかには財産状況をまとめるページがあり、「〇〇さんに残したい」と書けるページがあります。しかしエンディングノートは法的な拘束力は持ちません。つまり、「〇〇さんに残したい」と書いておいたとしても、法定相続人がNOといえば、〇〇さんにわたることはありません。
確実に〇〇さんに残したいという希望があるのであれば、遺言書の作成を行う必要があります。遺言書は法的拘束力を持つため、ここで書いたことは民法上問題のないことであれば強制力を持ちます。
遺言書では、
- 相続について(※ただし「〇〇にすべての遺産を残す」としていても、法定相続人は遺留分の請求はできます)。
- 未成年者の後見人などの指定および子どもの認知
- 遺言執行者の指定
- 祭祀継承者の指定
などができます。
遺言書は、形式を守っていれば、自筆かつ専門家の監修を受けていないものであっても法的拘束力を発揮します。ただ、言い方を変えれば、「形式を守っていない遺言書は無効になる」ということでもあります。
そのため、「間違いのない遺言書を書きたい」ということであれば、弁護士などの力を借りる必要があります。また、公証人によって作成される「公正証書遺言」の場合は、取り扱う財産の額によって費用が異なります。
専門家・公証人の力を借りて作る遺言書の費用はケースによって異なりますが、30万円程度を上限と考えておくとよいでしょう。
葬儀を見据えて互助会などに加入する 積立方式
葬儀にかかる費用はデータによって異なりますが、120万円~200万円程度です。かなり大きな出費となりますから、残していく家族のことを考えれば、なんらかの手を打っておいた方がよいでしょう。
その方法のうちのひとつが、「互助会」です。
互助会は毎月一定額を積み立てることで、冠婚葬祭(ここでは葬儀のことのみをピックアップします)のサービスを受けやすくするシステムをいいます。比較的安価で葬儀を行えるうえ、家族の負担を減らすことのできるこの互助会システムは、昭和23年に設立し、令和の現在までずっと活用され続けています。
また、事前に葬儀会社の会員になっておくのも有効です。葬儀会社によっては、「事前に会員になっておくことで、葬儀費用を〇パーセント割り引く」などのような割引サービスを実施しています。加えて、このような契約をしておくことによって、残されたご家族の「葬儀社を選ぶ手間」を軽減できます。
墓の生前契約 10万円~300万円
墓地・埋葬のタイプには多くの種類があり、そしてそれぞれで費用が大きく異なります。
たとえば従来型のお墓の場合は、一から建立しようとすると150万円近い費用がかかってしまう可能性も高いといえます。一方で、現在需要が高まっている樹木葬墓地での埋葬の場合は、個別の埋葬スペースに埋葬されることを選んだとしても50万円程度で済ませられる墓地が多く見られます。「初めから合葬墓への埋葬で良い」ということであれば50,000円程度の出費で済むこともあります。
自分の希望の埋葬形態を考えたうえで、生前に契約を済ませておきましょう。こうすることで、ご家族にかかる負担を大きく軽減できます。
終活にかかる費用は、「どこまで、どんな方法で行うか」によって大きく異なります。
ただ、事前にしっかり考えて取り組んでおくことで老後の資金の算段もつけやすくなりますし、ご家族にかかる負担も減らせるので、積極的に行っていきたいものです。
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