親の残した実家……どうする?4つの選択肢

親の残した実家……どうする?4つの選択肢

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「実家があるけれど、自分は自分でもう家を建てた」「遠方に実家があり両親が住んでいるが、自分はもう地元に戻るつもりがなく、将来的に空き家になることが決定している」という人は、決して少なくはありません。
今回はこのような状況にある人に向けて、「空き家になることが決定している実家をどうすべきか」を解説していきます。

親が残していった実家、どうする?それぞれの選択肢のメリットとデメリット

「今現在親が住んでいる家があるが、自分はその家に戻ることはできない(戻る意思がない)」という場合、将来的にとれる選択肢は下記の4つです。

  • 近くに住める環境にある人がいるなら、「住む」はベストの選択肢
  • 立地の良いところ、住宅性能が良ければ「貸す」もあり
  • 好条件の場所なら「売却」すれば、後々の相続手続きも楽になる
  • 空き家の危険を避ける「取り壊す」

それぞれの選択肢の特徴について解説していきます。
※単に実家の老朽化だけが問題の場合はリフォームをして住み続けるという選択肢もあります。しかしここでは「(たとえリフォームをして何十年か住んだとしても)最終的には空き家になってしまう実家の処分」を想定しているため、これは取り上げません。

近くに住める環境にある人がいるなら、「住む」はベストの選択肢

「自分は戻れないが、近くに賃貸物件に住んでいる親戚がいる」という場合は、その人たちに住んでもらうのがベストでしょう。特に兄弟姉妹などのように、親の遺産を継ぐ法定相続人がいれば、「私は動産を引き継ぎ、兄弟姉妹に不動産を渡して、遺産を分ける」などのような方法を取ることができます。
この選択肢のメリットは、思い入れのある家をそのまま残せるうえに、地元に戻ったときに気軽に立ち寄れるというところにあります。このメリットが得られる選択肢は、数ある「実家の処分方法」のなかでも、この方法だけです。
ただ、この選択肢が選べるのはごく限られた条件下にある人だけである、というそもそもの問題点があります。
また遺産として分配して引き継ぐときは、不公平な分け方にならないように話し合いが必要です。血のつながりのある親族・家族だからこそ、冷静になれずにもめてしまうという可能性もあります。

立地の良いところ、住宅性能が良ければ「貸す」もあり

立地のよいところに建っている実家であり、かつ住宅性能が良い実家であるのなら、そのまま第三者に貸し出すという方法も選択肢に入ってきます。
親族・家族に貸したときとは異なり気軽に立ち寄ることはできませんが、家のかたちはそのまま残すことができますし、思い入れのある住宅を残すこともできます。
この方法のメリットとして、「家賃が入ってくる」という点があります。場合によっては10万円を超える金額が毎月入ってくることになりますし、人が住んでいることで家が荒れることも避けられます。「自分たちはもう戻らないが、子ども(親にとっては孫)が将来的に地元に戻ることを希望している」などの場合は、貸している人と協議のうえ、調整することもできます。
ただ、この方法は需要がある物件でなければ成り立ちません。また実家の修繕などが必要になることもありますから、「出ていく金額に比べて、入ってくる金額が大きくなるか」をきちんと精査する必要があります。

好条件の場所なら「売却」すれば、後々の相続手続きも楽になる

「貸す」と合わせて考えたい方法として、「売却」があります。
好条件の建物であれば、売りに出してすぐに買い手がつく場合もあるでしょう。
貸す場合と同じく、売却には「お金が入ってくる」というメリットがあります。また、現状引き渡しで契約をした場合、修繕費を払う必要もありません(ただし売値は安くなります)。加えて、貸す場合とは異なり、経年劣化を心配する必要もなく、現金化によって後々の相続手続きも楽になるという非常に大きなメリットもあります。
なおこの方法は、家あるいは土地に資産価値がなければ選択することができません。「買い手を探したものの、だれも買い手がつかず、固定資産税だけが出ていく」ということもよくあります。

空き家の危険を避ける「取り壊す」

住める人もおらず、貸り手もおらず、買い手もいない……という場合は、「取り壊す」という選択肢を取らざるをえません。空き家にしておくと家や庭が荒れて隣近所の迷惑になってしまいますし、災害で倒壊したり、犯罪者が入りこんだりする可能性があるからです。
実家取り壊しのメリットとして、上記で挙げた「空き家のリスク」を避けられるという点があります。また、「建物には資産価値がなくむしろマイナスではあるが、土地には価値がある」という場合は、建物を取り壊したのちに売却することで、いくらかのお金は入ってくることになります。また、土地を自治体に寄付することができれば、節税も可能となります。
さらに、今後もっと需要が減ると予測されている土地の場合は、このような方法で手放すことで、子ども(親にとっては孫)の相続の負担を減らすこともできます。

ただしこの方法にはリスクもあります。
まず、更地にしてしまうと、固定資産税が跳ね上がります。自宅などの住宅には「住宅用地の特例」という固定資産税軽減措置が敷かれているのですが、更地にしてしまうとこの特例が受けられなくなります。土地の固定資産税が実に6倍にもなってしまうので、「更地にすればたしかに売れやすくはなるが、売れなかった場合のマイナスは大きい」というリスクを背負うことになります。
また土地を地方自治体などに寄付しようとしても、寄付を断られることもあります。「借り手もつかず、売り手もつかない土地」は、地方自治体にとってもメリットが薄く、引き取りを断られる可能性が高いのです。

土地の相続における土地価格の評価と税金

生前の話し合いが大切

将来空き家になるであろう実家の処分方法については、さまざまな選択肢があります。住める人がいればその人に、借り手や買い手がいる場合はその人に、とするのが良いのですが、これらがつかない土地をどうするべきかは、非常に悩ましい問題です。更地にしてしまって買い手がつくあるいは寄付が可能になるのであればまだ良いのですが、それも難しい場合もあります。こうなると、「処分しようとしても処分ができず、固定資産税を払い続けるだけの土地」になってしまいます。
残念ながら、このリスクを100パーセント避ける方法はありません。
ただ親御さんが元気なうちに話し合いをすることで、リスクを下げることは可能です。特に、「今はまだニーズがあるが、将来的にニーズがなくなるであろう場所に建っている実家」「今もニーズはあまりないが、将来的にはもっとニーズがなくなるであろう場所に建っている実家」の場合は、早いうちに手放す決断をすることで、後々に起こる相続の問題を解消することができます。
もっとも、家というものは、単なる「建物」ではありません。
家は多くの場合、一生涯で一番高い買い物となるものであり、また思い出が詰まった場所でもあります。そのため、「将来のために話し合いを」「空き家のリスクを踏まえて取り壊しを」と話しても、拒否感を抱く人は当然多いかと思われます。
その場合は丁寧に話し合いを重ねて、「次に住むことになる住宅に、今住んでいる実家の一部を持ち込もう(柱を取り外して、手すりに加工してとりつけるなど)などのように提案してみるのもよいかもしれません。

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