子連れで再婚し、共に生活している方は、連れ子の相続について気になると思います。この記事では、連れ子は相続できるのか、連れ子が相続するための3つの方法について解説していきます。
連れ子は相続できない
子連れで再婚した場合、婚姻届を出しただけでは、再婚相手と連れ子は法律上の親子にはなりません。法定相続人になれるのは、被相続人の配偶者と血族に限られます。法律上の親子ではなく、連れ子には再婚相手の相続権がないため、連れ子は相続できないことになります。
連れ子が相続可能な3つの方法
何の手続きも準備もしなければ、連れ子は再婚相手の財産を1円も相続できません。そこで、連れ子でも相続することが可能になる3つの方法を説明します。
養子縁組になる
養子縁組とは、もともと親子ではない2者の関係を法律上の親子に変更する手続きです。
養子縁組には、「普通養子縁組」と「特別養子縁組」があります。
「普通養子縁組」は、実の親との親子関係を続けたまま、養親とも親子関係を結ぶ制度です。当事者同士で養子縁組に同意したあと、市町村役場へ養子縁組届を提出することで成立します。一方「特別養子縁組」は、実の親との親子関係を終了させ、養親と新たに親子関係を結ぶ制度です。「特別養子縁組」は児童福祉のための制度で、さまざまな事情により生まれた家庭で育てられない子を、別の家庭で引き取り、養育を受けさせる目的があるため、6歳までの子供を対象にしています。
一般的に再婚相手と連れ子との養子縁組は、「普通養子縁組」が行われます。養子縁組をすることで、養子は実子と同等に扱われる立場になるため、養子も相続権が得られます。
つまり、普通養子縁組をすることで再婚相手との間に生まれた子と連れ子の法定相続額が同等になるのです。
ちなみに、「普通養子縁組」では実親との親子関係が続くので、養子は実親から相続する権利を失いません。実の親からも、再婚して養子縁組をした親からも、連れ子は財産を相続する権利があります。
養子縁組をすると養親と養子の間には扶養義務が生まれるため、もし離婚で離れて暮らすことになった実親から養育費が支払われていれば、養子縁組の成立後は養親に扶養義務が移り、実親は支払いを終了していいことになります。
別れた実親の養育費の支払いに頼っている場合は、養子縁組をするタイミングに注意する必要があります。
遺言書で連れ子に相続
事情があり養子縁組は行わないという方でも、連れ子に財産を残す方法があります。それが遺言書です。遺言書を作成し残しておくことで、法定相続人以外の連れ子にも財産を残すことができます。
ただし、遺言書の作成には注意が必要です。もしも連れ子のほかに再婚相手に実子がいた場合、実子は法定相続人の第一順位であるため、法定相続人に認められる最低限の財産の取り分である遺留分があります。
この遺留分を侵害して遺言書で連れ子に相続させようとした場合、実子には遺言書がなければもらえるはずだった法定相続分の相続額の半分の金額を請求できる権利(遺留分減殺請求)があるため、遺言書に「全額連れ子に相続させる」と書いてあったとしても、実子に遺留分減殺請求をされてしまうと全額相続はできません。
遺言書を作成する場合は、実子の遺留分を侵害しない金額を遺言書に記載するなど、トラブルを避けるように配慮しましょう。
生前贈与で連れ子に相続
連れ子が財産を相続するのに、生前贈与という方法もあります。生前贈与とは、生きているうちに財産を譲る(贈与する)ことです。
この生前贈与は、誰にでも贈与が可能なので、連れ子にも贈与が可能です。生前贈与をして相続財産を減らすことで、相続税を減らすことができます。ただし、相続税は減りますが、贈与税がかかってしまいます。
贈与税には2種類の課税方法があり、「暦年課税(通常の贈与税)」と「相続時精算課税」があります。
一般贈与(暦年課税)の贈与税には、年間110万円の基礎控除が設けられています。1年間で受け取った財産の合計金額が、基礎控除額の110万円を超えたケースに限り贈与税がかかります。
たとえば、連れ子に毎年110万円ずつ10年間贈与した場合、1100万円の財産を生前に連れ子に渡すことができ、贈与税は基礎控除内の金額なので0円になります。このように、基礎控除の限度額で計画的に生前贈与することで贈与税は節税することができます。
連れ子の相続で知っておくべきポイント
再婚相手と血縁がない連れ子は、法律上親子関係が認められない限り相続することができません。しかし、連れ子が相続する方法は3つあります。
子連れの再婚は、相続時にトラブルを招きやすいです。子供同士で争わせることにならないよう、いざという時のために整理しておきましょう。
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