土地の相続における土地価格の評価と税金

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土地を相続する場合の土地の価格の評価方法と、税金の算出方法について分かりやすく説明します。また、相続時に節税するための評価額減額の方法もご紹介します。

土地の評価

土地の評価方法は4つ

私たちが日常的にスーパーで野菜やお肉を買う時に、は値札に値段が書いてあります。その値段は300円や800円のように1つの商品に1つです。値段は決まっており、誰が買ってもその値段は同じです。しかし、土地の値段はそのように1つの値段が決まっているわけではありません。買う人や取引の目的によって値段が変わってくるのです。土地には売買取引時価、公示価格、固定資産税評価額、相続税評価額(路線価)の4つの価格があります。このように別れている理由は、売り主や買い主がそれぞれ異なる視点や基準で土地の価格を評価しているためです。1つの物なのに4つの価格があるので、土地のことを一物四価と呼びます。以下にそれぞれの価格の説明をしていきます。

公示価格

公示価格とは国が示す土地の値段のことです。国土交通省の土地鑑定委員会が、不動産鑑定士が査定した評価額などを参考にして公示価格を決定しています。
毎年1月1日に国土交通省が全国に定めた地点の価格を公示しています。この土地の売買取引時の価格は公示地価に拘束されるものではありません。しかし、取引時には価格の参考として重要な価格指標となります。

固定資産税評価額

固定資産税評価額とは各市町村、都道府県が算定する土地や不動産に対して策定した評価額のことです。固定資産税評価額は各自治体の担当者が1つ1つの土地・不動産を確認して決定しています。どのように確認しているかというと、新築時に確認して価格を決め、その後は経過年数によって次第に価格を減少させるという方法で算出しています。
毎年1月1日時点に公示される公示価格の70%を目処に算出されます。公示価格の70%を目処に算出される理由は、固定資産税評価額が3年に一回のため、変動する土地価格によって納税者である土地の所有者が不利益を被らないようにするためです。

路線価

路線価とは、国税庁が発表している宅地1平方メートルあたりの土地の評価額です。毎年7月〜8月頃に公示されます。相続税の課税額を算出する際に用いられるため倍率価格、相続税路線価、相続税評価額とも言われます。路線価は以下の国税庁のホームページで公開されています。また、税務署や国税庁に直接行って確認することも可能です。

国税庁「財産評価基準所 路線価図・評価倍率表」
URL : http://www.rosenka.nta.go.jp/index.htm

路線価は不動産鑑定士の評価や地下公示価格、売買実例価格、精通価格などをもとに算出されています。目安としては公示価格の80%程度が基準となります。

倍率方式

倍率方式とは、路線価が定められていない土地を評価する方法です。全ての地域の土地に路線価が定められているというわけではありません。そのため、路線価が定められていない地域の土地を評価する場合に倍率方式が用いられます。調べたい土地が路線価が定められているかどうかは、路線価図を見て確認することができます。路線価図とは、路線価が地図上に描かれたものです。

倍率方式による計算方法を説明します。倍率方式による土地の価格の計算式は「固定資産税評価額×評価倍率」です。倍率方式では評価倍率という計算の倍率が使用されます。この評価倍率は国税庁のホームページで調べることができます。評価倍率表には地目と言うものが設定されています。この地目によって評価倍率は異なります。評価倍率表には宅地、畑、田、山林、原野、沼地、牧場といった地目が設定されています。一般的に宅地の倍率が一番低くなっており、それ以外の地目は固定資産税評価額の数倍から数十倍に設定されています。

土地の相続にかかる税金

土地の相続には登録免許税と相続税の2種類の税金がかかります。この2種類の税金について次に説明します。

登録免許税

登録免許税とは、土地を相続した際に「所有権移転登記」を行う際に必要となる税金のことです。土地を相続した場合は所有者が変更になるため、所有権移転登記を行う必要があります。登録免許税の計算方法は以下の式で算出することができます。

固定資産税評価額×0.4

固定資産税評価額の調べ方ですが、市町村がその評価額を決定しているため役所で価格を確認することができます。

相続税

相続税とは、亡くなった被相続人の土地や不動産などの財産を相続する際にかかる税金のことです。相続税の金額は、被相続人が亡くなった際の土地の時価に対して課税されます。時価とは簡単に言うと、今すぐ換金した場合の価額です。ただその時価金額の全てが課税対象になるわけではありません。相続に関しては基礎控除額というのがあります。基礎控除額を引いた金額に税金がかかります。

相続税の計算方法

相続税の計算方法を説明します。相続税は以下の式で求めることができます。

課税遺産相続総額 × 税率 = 相続税

課税遺産相続総額

課税遺産相続総額とは、遺産を相続した場合の課税対象になる金額です。課税遺産相続総額は、遺産総額から基礎控除額を引いた金額になります。課税遺産相続総額は以下の式で求めることができます。

遺産総額 - 基礎控除額 = 課税遺産相続総額

基礎控除額

基礎控除額とは、遺産総額から控除される金額です。相続人の人数によって金額は変わってきます。また基礎控除額以内あれば相続税はかかりません。基礎控除額は以下の計算式で求めることができます。

3,000万円+相続人の数×600万円 = 基礎控除額

相続人の人数による基礎控除額は以下の通りです。

相続人の数 基礎控除額
1人:3,600万円
2人:4,200万円
3人:4,800万円
4人:5,400万円
5人:6,000万円

相続税の税率

相続税率は国税庁が発表しており、以下の通りです。

【平成27年1月1日以後の場合】相続税の速算表
法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下       10% -
3,000万円以下       15% 50万円
5,000万円以下                       20% 200万円
1億円以下         30% 700万円
2億円以下         40% 1,700万円
3億円以下         45% 2,700万円
6億円以下         50% 4,200万円
6億円超          55% 7,200万円

引用:相続税の速算表|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4155.htm

相続税を下げるための2つの方法

相続税を下げる方法を2つご紹介します。まずは、相続する財産自体を減らすということ。次に財産の評価額を下げるというものです。この2つの方法について以下で詳しく説明します。

相続財産を減少させる

相続財産を減少させる方法の1つに生前贈与があります。相続時の金額で大部分を締めるのは預金・不動産などです。これらを生前に相続対象者などに贈与しておくことで、被相続人の財産が減るため被相続人が亡くなった際の財産も結果として減少します。それにより相続税を減少させることができます。

財産評価額を下げる

次に財産の評価額を下げる方法があります。預貯金は明確に金額が決まっているため、評価額を下げることはできません。しかし、不動産の場合可能です。不動産を使った評価額の下げ方を以下で説明します。

土地を分割する

1つの土地を相続する場合、その土地をそのまま1つの土地として相続するよりも、いくつか複数に分割して相続することで、土地全体の評価額が下がる場合があります。そのため、ある程度大きな土地を相続する場合は相続人同士で相談して、土地を複数に分割して相続することも検討すると良いでしょう。

預貯金で不動産を建てる

預貯金は現金のため評価額を下げることはできないと述べました。しかし、間接的に現預金の評価額を下げる方法があります。それは現預金でマンションやアパートなどの不動産を建てるという方法です。例えば相続財産の預貯金が1億円ある場合、その預貯金でアパートを建設します。その場合、そのアパートの評価額は1億円よりも低くなります。

小規模住宅等の特例を活用する

小規模住宅等の特例とは、被相続人の土地について一定の要件を満たす場合、評価額を減額するという特例です。最大で8割も評価額を下げることが可能になります。ただ、この要件が非常に複雑です。要件を満たさないと数千万円規模で相続税が増加してしまう可能性があるため、要件はしっかりと確認することが重要です。個人での確認が難しい場合は、税理士に相談すると良いでしょう。

広大地

広大地とは、土地が著しく広大な場合に認められる可能性のある土地です。
広大地に認められた場合に評価額が減額される理由は、潰れ地が生じるためです。潰れ地とは、道路以外の使用ができない土地です。潰れ地を含んだ土地を相続する場合は、潰れ地を含まない土地を売却する時と比べると、売却時の1平方メートルあたりの単価は安くなります。そのため、広大地では売却時の土地価格の下落分を考慮して評価額が減額されます。

まとめ

土地の評価方法は公示価格、固定資産税評価額、路線価、倍率方式があります。土地の相続金額と相続人数によって相続の税率は変わります。また、土地を相続する場合に節税する方法もあるので、よく調べることが重要です。

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